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天辰家の猫 リアムのひとりごと * その 15

明け方近く、仕事を終え、部屋から出てきたご主人様が台所でなにやらガタゴトとやっている。深夜から朝にかけて仕事をするご主人様は、この時間に軽く何かを食べてから午前中眠る、というのが日課だ。さすがに家族はまだ起きていないので、ひとりで冷蔵庫の中身とにらめっこをしながら、さて何を食べようか、今朝も献立を考えている。

料理の腕前は?というと、これがどうしてなかなかなのだ。
たまに家族のための夕食を作ることもあるが、おばあちゃん直伝(というか見よう見まね)の味つけがおいしい太刀魚の煮つけや、骨まで全部食べられるほど柔らかくなった鰯の生姜煮、わりしたを作らず、しょうゆや砂糖を入れていく関西風のすき焼きなど、すべて目分量で大胆に調味料を入れていくところは、さすが男の人の料理ね、と感心される。
かと思うと、キャベツのバター炒め、なんていうシンプルだけど好評のレパートリーもある。「シンプル・イズ・ベスト・・・だからな。」これ、ご主人様の料理の口癖。

そう、ご主人様は創作料理とか、フレンチ風なんとかとか、そういうややこしい料理は苦手なんだ。好みはシンプルに素材を生かした、ちょっとレトロな味。パスタだったらスパゲッティ・ナポリタン、ラーメンだったらマルタイラーメン、卵料理はなんでも好きだけど、やっぱり暖かいご飯におしょうゆをかけたぶっかけ卵!あれ、こうなると料理とはいえなくなっちゃうかな?

そんなことを言っているうちにご主人様の力作が完成したようだ。今朝のメニューは、ゆうべの晩ご飯の豚すき焼きの残りものを卵でとじてご飯に乗っけた名付けて‘トンたま丼’!「朝から豪勢すぎたかな」とか言いながら、ご主人様、ちょっと自慢げ。

どれどれ、ぼくが味見をすることにするか・・・。それでは、いっただきま~す。
(2005. 7)