今年出会ったアルバム 「BEST 3」 * 2018年


1 赤谷 隆一  東京都  62歳

1. ビリー・ギボンズ 『Big Bad Blues』

1stソロはちょっとラテン系の音で、ZZトップでやれないものをやったのね、と思ったのですが、今回は直球勝負、ブギもブルースもです。悪い訳ないです。

2. エリック・クラプトン 『Happy Xmas』

クラプトンも遂にクリスマスソングかよ、と暫く近寄らなかったのですが、知り合いのところで聞いたら、これがまたブルース・クリスマス・ソングばかりで素晴らしくて。クリスマス直前に間に合いました。

3枚目は選べなかったのですが、以下は今年心に来たものです。
MV絡みの曲:「世界の人へ」NGT48、「ステップアップLOVE」DAOKO×岡村靖幸、ライブ:グリム・スパンキー、驚きの現象:クイーンの再々ブレイク、本:「小屋を燃す」南木佳士。来年も愚直にどんくさくも前に進んで行きます。皆さんもどうぞお元気で。


2 伊東 潔  千葉県我孫子市  63歳

1. Charlie Puth 『Voicenotes』

2. Bjons 『Silly Pops』

3. Natalie Prass 『The Future And The Past』


順位はありません。それぞれのサウンドに「懐かしさ」と「既視感」がありますが、歌手なりバンドなり、自分の独自の音楽世界を作っていると思います。とにかく2018年の私のへビロテの3枚です。

あと、よく聴いたものを並べると、Caroline Rose『Loner』、The Aces『When My Heart Felt Volcano』、Ariana Grande『Sweetener』、高野寛『A-UN』、阿佐ヶ谷ロマンティクス『灯がともる頃には』、Karyn Hawthorne『Unstoppable』、Homecomings『Whale Living』、畠山美由紀『Wayfarer』、The1975『A Brief Inquiry Into Online Relationships』、Tori Kelly『Hiding Place』などです。


3 小尾 隆  東京都  60歳  http://obinland.exblog.jp/

1. トリッシュ・トレド 『Dedicated To The Ones I Love Vol.2』 (ミュージック・キャンプ)

2. ドニー・フリッツ 『June (A Tribute To Arthur Alexander)』 (オーバーオール・ミュージック)

3. V.A. 『Eddie Hinton Songbook〜Cover Me』 (英 Ace)

「私たちチカーノのコミュニティではオールディーズを歌うことは大事な慣習なの」と言うトリッシュ・トレドのR&B集がとにかく素晴らしかった。またドニー・フリッツが今は亡き旧友アーサー・アレキサンダーに捧げたアルバムと、最愛のエディ・ヒントンが遺した楽曲に焦点を当てた『Songbook』の2枚は、20世紀のアメリカ深南部〜スワンプ・ミュージックの記憶として。ライブでは吉村瞳に10回行きました。


4 川勝 敏弘  群馬県  59歳

1. Willie Hightower 『Out Of The Blue』

2. Donnie Fritts 『June (A Tribute To Arthur Alexander)』

3. David Crosby 『Here If You Listen』

よく聴いた3枚です。今年はなんと言ってもウィリー・ハイタワーの49年ぶりの新作でライブも観る事が出来ました。ドニー・フリッツは盟友だった故アーサー・アレキサンダーとの出会いから別れまでを綴った追悼盤で涙なくしては聴けません。毎年年末近くにリリースされるデヴィッド・クロスビーは前作はジャズでしたが今回はアコースティックなサウンドでシンプルな作品。

他にはベティ・ラヴェット、ダニー・コーチマー&イミディエイト・ファミリー、ジョン・クリアリー、ボズ・スキャッグス、新作をリリースして亡くなってしまったトニー・ジョー・ホワイト、まだまだ元気な歌声を聴かせてくれたキャンディ・ステイトン、カウボーイ、ヴァン・モリソンなどが印象に残っています。

未発表音源はマッスルショールズのスワンパーズ、グラント・グリーンの2作品、ジョージ・ジャクソンの音源集第4弾、カウボーイの2007年録音盤はスコット・ボイヤーの遺作となり、エディ・ヒントン・ソングブックもうれしいリリースでした。


5 木村 盛  新潟県  65歳

Jon Cleary 『Dyna-Nite』

Boz Scaggs 『Out Of The Blues』

Paul Simon 『In The Blue Light』

一年ぶりの投稿ですが、相変わらず爺さんだけです。Jon Cleary だけはわずかに50代で前2作とも愛聴盤で、今作が一番出来が良い。ボズは冒頭の曲からゴキゲンな ブルースアルバム。ポールはロイ ハリーとの緻密な共同作業に敬服します。今作を聴いてると、なぜかジョニ ミッチェルとの共通性を感じます。


6 キーノ  東京都  60歳  http://green.ap.teacup.com/kino1958/

- 新譜編 -

1. Courtney Marie Andrews 『May Your Kindness Remain』

その声質や歌い方を含め、Linda Ronstadt の不在で長らく失われていたピースが見つかった。既に何枚かアルバムを出していた人だが、ワタシの視界には初めて入ってきた。今年の愛聴盤と言えばこれを挙げずにはおれない。ロンドンで観たLIVEも素敵だった。

2. Willie Hightower 『Out Of The Blue』

一昨年の William Bell、昨年の Don Bryant に続き今年は Willie Hightower が新譜をリリース。彼も現役らしい伸びのある声でサザン・ソウルの新曲を届けてくれたのが嬉しい。リリース後の来日では新譜からの曲が聴けなかったのが残念。結構良い曲ありますので。

3. Ry Cooder 『The Prodigal Son』

倅 Joachim と二人で作ったようなアルバム。それに Terry Evans、Arnold McCuller、Bobby King の鉄壁のコーラス陣が加われば最強。Terry が収録後に亡くなったのが哀しい。しかし倅のタイコが的を得ていて素晴らしい。もはや Jim Keltner は要らないって事か。既知感はあれども Ry の音楽はいつだってTimelessだった。”You Must Unload”が染みます。チケットを押さえていた6月のDC公演がリスケジュール=キャンセルになったのは残念至極。

- 再発・発掘編 -

1. Valerie Carter 『The Lost Tapes』

2. Jackie DeShannon 『Stone Cold Soul: The Complete Capitol Recordings』

3. Neil Young 『Roxy: Tonight’s The Night Live』

1.は昨年亡くなった彼女の歌声を噛締めながら聴いている。特に Nicolette Larson と Lauren Wood との楽しげな「Baby It’s You」のセッションが素敵。2.は自作もあるがカバーのセンスがまた素晴らしい。時に若干の黒さも感じさせるその大らかな歌声に聞惚れている。3.は新作は大したものを出さない近年の Neil だが、厳選リリースのアーカイヴ集は良い。本作と『Songs For Judy』の2枚をリリースしたが、バンド形態の本作をより評価。


7 グッゴー三浦  大阪府  58歳

2018年はレコードの良さにハマッてしまった一年でしたので買ったのは中古レコードが大半でしたが、新譜で買ったものからのベスト3を選んでみました。

1. Donnie Fritts 『June (A Tribute To Arthur Alexander)』

新譜を出してくれるだけでも涙ちょちょぎれですが、朋友だった今は亡き Arthur Alexander へのトリビュート盤とは参りました。元気でいてくれてありがとう!

2. Willie Hightower 『Out Of The Blue』

御年77才で新譜!マッスルショールズ録音!クイントン・クランチがプロデュースに関わってる!ありがとう~♪ライブも最高でした。

3. Van Morrison 『The Prophet Speaks』

次々と新譜を出してくれる Van “The Man”♪ 元気で創作意欲に溢れていて何よりです。Blues、Soul への愛情も堪りません♪ ここんとこの作品はどれを選んでも良いのですが、Van の新譜を初めてレコードで買った最新作を選びました。

さて、今年はどんな出会いがあるのか今から楽しみです。


8 齋藤 皓太  千葉県  64歳

体の不調と戦いながら音楽と向き合う日々ですね。今年もクロッパーは直前になってバンドのメンバーに代わってもらいました。

1. ポール・マッカートニー 『エジプト・ステーション』

76歳になってここまでというのは感動でした。「ハンド・イン・ハンド」とか「ドゥー・イット・ナウ」とか聴いた途端に心ふるえました。ライブも去年より良かった。

2. ジョン・ハイアット 『ザ・エクリプス・セッションズ』

本当はこっちが一番かな。65歳の筈だけど、まだこんなに素晴らしい曲が書けるんだって!負けていられないなと思わせてくれます。

3. マーク・ノップラー 『ダウン・ザ・ロード・ウェアエバー』

円熟のヴォーカルとギター。好きなことを好きなようにやっている感じがいい。

4. ドニー・フリッツ 『ジューン』

旧友アーサー・アレキサンダー関連の曲を集めて唄った盤。心溢れている。亡くなった時に作った編集盤も引っ張り出して聴いたけど、これもシミジミ。

5. ライ・クーダー 『ザ・プロディガル・サン』

ここ十年ほどの盤にハズレはないが、これは集大成。『ボップ・ティル・ユー・ドロップ』の次だよと言っても通じそうなくらい。


9 榊原 真久

1. Bonnie Raitt 『Dig In Deep』

円熟安定路線の上を行くカッコ良さに痺れました。初期3作とはまた違った彼女の最高峰の1枚だと思います。

2. Gretchen Peters 『Dancing With The Beast』

相変わらず地味ながら、ひたすら染み入るSSW作品の鑑のような1枚。個人的にはキャリアハイだと思います。

3. Sierra Hull 『Weighted Mind』

前2作同様、ブルーグラスベースの耳当たりの良い作風かと思いきや、見事に裏切られました。全編彼女のVoとマンドリンにベースが加わる程度、どこまでも美しい純度200%の静謐なSSW作品。どれか1枚ならコレかなぁ。


10 坂下 栄一  東京都   61歳

1. The Jayhawks 『Back Roads And Abandoned Motels』

1曲目から女性ボーカルで驚きましたが、あとは何時もの The Jayhawks です。どの曲もコーラスが気持ち良い。

2. Tom Petty 『An American Treasure』

聞き応え十分な4枚組、今年一番の通勤の友でした。

3. Buddy Guy 『The Blues Is Alive And Well』

9月にテキサスのダラスで Buddy Guy のコーンサートを観てきたのですが、このアルバムからは1曲も演ってくれませんでした。


11 笹野 恒夫  神奈川県  64歳  http://cypressave.d.dooo.jp

* Various Artists 『Green Leaves Nick Drake Coverd』 (March 2018 MOJO)

* Aretha Franklin 『Spirit In The Dark』 (1970 / 2013 Atlantic / Rhino)

* TheCASH 『Sunrise』 (2016 Jahnando)

『Nick Drake Coverd』は雑誌の付録CD。TheCASHは「春らんまん」のカヴァーが気に入っております。


12 高橋 俊博  東京都  56歳

1. Tom Petty 『An American Treasure』 (2018)

未発表、ライヴ音源、別テイク、既存曲のリマスター版を集めたコンピレーション。タイトルの『An American Treasure』は Tom Petty のことであって、決してこの作品のことではないと思います。絶賛する声も聞かれますが、発表されなかった曲、正規版の別ヴァージョンにはやはり<大切な何か>が欠けています。Tom がリリースすることのなかった曲はあくまでもそのレベルには達していなかったと彼が判断していたはず。それを引きずり出してくるのには少し違和感を感じてしまいます。そう言いながら全ての曲に耳を奪われ心をつかまれるのはファンの悲しい性なのでしょう。こういう曲たちを書くことができるソングライターがいなくなってしまった世界は少しだけつまらないものになってしまったような気がします。

2. Buffalo Springfield 『What’s That Sound? Complete Albums Collection』 (2018)

オリジナルアルバム3作のステレオヴァージョンに1&2作目のモノヴァージョンの計5枚を Neil Young 主導でオリジナルアナログテープからリマスタリングした 5CDボックス。ジャケットデザインのダメさとは正反対に60年代半ばのわずか2年の間に生み出された珠玉のアルバムがリマスタリングにより新たな命を与えられたかのように輝きを放っている。
複雑なコーラス、埋もれ気味だった Bruce Palmer のベース、様々なサウンドエフェクトがクリアに聞こえ新たな発見に心躍る。全くと言ってよいほど話題にならなかったのが不思議で仕方ない。

3. The Beach Boys 『Wake the World The Friends Sessions + I Can Hear Music The 2020 Sessions』 (2018)

音源配信のみでCDやレコードなどのメディアでは一切発売されなかったアウトテイク集。配信以外はセールス的に苦しいとの判断でこういう事態になったのでしょうが、中身が充実しているのでできれば何かの<形>でリリースしてもらいたかった。Brian のソングライターとしての才能はいまさら言うまでもありませんが、精神・肉体共に不調な彼に頼りきれなかったBoys達が試行錯誤を繰り返しながらアルバム制作をしていた貴重な記録の数々がここには収められています。

あくまでも個人的な話ですが、2018年は5年、10年と聞き続けられるアルバムや新人に出会うことができませんでした。今年はめぐり合うことができればと願っている次第です。


13 Tak.“SPIKE”  岡山県  56歳

* Luluc 『Sculptor』

この3rd.アルバムで初めて知ったアーティストですが、2nd.も(というか、むしろ2nd.の方が)素晴らしく、ヴォーカルの Zoe Randell の何とも言えない柔らかな雰囲気に魅了されました。1st.も欲しいのですが高すぎて…

* Rayland Baxter 『Wide Awake』

このアーティストも3rd.アルバムで初めて知った方ですが、やはり2nd.も素晴らしかったです。フォーキーな味わいのあるオルタナ・カントリーなんだと思いますが、独特のパンチがある楽曲群で、バラエティに富んだ内容でした。

* Lesley Duncan 『Love Song : Previously Unreleased 1977-1986』

一昨年の再発で出会ったアーティストですが、今回は未発表曲集です。もう少し長生きして、何枚かアルバムを作っていただきたかった…とあらためて思った次第です。

今年は、I’m With Her、Jayhawks、Dawes の新作も出て、本来はこの3組がBest 3のはずだったのですが… Glen Phillips、Jennifer Warnes、Paul Carrack、Doug Paisleyに、Cowboyと Chris Hillman の再発もよく聴いてたんですが… 世の中がいろいろ辛いことが多すぎて、ニュースを見ないで音楽を聴いてた気がする2018年でした。


14 田中 一也  京都府福知山市  51歳

1. Richard Thompson 『13 Rivers』

エレクトリックなアルバムを待っていたファンには涎モノのセルフプロデュース作品です。長年に渡るレギュラーメンバーによって短期間で制作されたという、ライブ感のある傑作。そして、やはりギターは相変わらず凄い!としか言いようがありません。

2. Jon Cleary 『Dyna-Mite』

これぞニューオリンズというファンキーな曲あり、お洒落な曲あり、ヴァラエティに富んでいて最高に楽しいアルバムです。

3. John Hiatt 『The Eclipse Sessions』

バンドでのレコーディングではありますが、極限まで音数を減らした、むしろLive アルバムよりも生々しく聴こえるネイキッドなアルバムです。スローな曲も、ノリのいい曲も、シンプルなのに、いちいち刺さります。

今年も素晴らしい候補作品は20枚以上あり、3枚に絞るのは苦しい事この上ありませんが、その苦しさもまた楽しいです。素晴らしい作品を届けてくれたミュージシャン達に感謝です。


15 土橋 博雄  東京都  61歳

2018年は見事なまでに凶事満載で、特に秋からはひどいものです。こういう時期は本も映画も助けにならず、音楽にすがってしまいます。
という訳で原点回帰、以下の3枚に救われました。Music is love.

* Neil Young 『Roxy: Tonight’s The Night Live』

* Boz Scaggs 『Out Of The Blues』

* David Crosby 『Here If You Listen』


16 中島 一男 (kofn)  千葉県  53歳  http://ameblo.jp/kofn/

* Kamasi Washington 『Heaven And Earth』

* Brad Mehldau 『After Bach』

* Lamp 『彼女の時計』

新譜と旧譜のどちらを多く聴いたかというとそれは圧倒的に旧譜の方が多いのですが、新しいアルバムを聴いてときめき感動する感性は持ち続けたいと思ってます。


17 長塚 肇  千葉県  65歳

1. V.A. 『社会人になったら知っておきたいクラシック』

大田区立のとある図書館で借りてきたこれです。ユニバーサルからリリースされていました。これは凄いよ!それでもこの中の楽曲って結構聞いたことがあるものがほとんどでした。歌謡曲やロックなんぞよりも耳になじんでいるのがこの手のクラシック音楽だと再度確認できました。

2. V.A. 『ナイアガラの奥の細道~ルーツ・オブ・ナイアガラ・ポップス』

これまた凄いの一言です。亡き大瀧詠一さんも多分大絶賛?これを聴いて、やはり音楽を真剣に聞いている方がいるのだと感心させられました。私のようなBGM的聞き方ではだめのようです。これ文京区立小石川図書館でたまたま借りることができました。

3. Dolly Parton, Linda Ronstadt and Emmylou Harris 『Complete Trio Collection』

リンダちゃんはかわいい!我が永遠な恋人です。これは品川区のある図書館で借りてきました。

とまぁ今年も都内の数か所の図書館巡りでこれらに巡り合えましたが、すでにCDの購入やネットからのダウンロード等での購入はしていません。低いレベルの年金受給者は生活に余裕がなくCDの購入どころではありません。それでもこうして図書館CDで楽しんでいるのが精いっぱいなのです。


18 中安 亜都子

1. マイルス・デイヴィス 『キリマンジャロの娘』

マイルスの『ビッチェズ・ブリュー』を昨年 In-Cahootsで挙げたことをキッカケに『ビッチェス〜』への道、つまり彼はエレクトリック時代にどう至ったのかを追求(と言うほどのものではありませんが)してみたくなった。マイルスほか、チック・コリア、ハービー・ハンコック、ウェイン・ショーターらすでにスター級の目も眩むようなメンバーを相手に、鍔迫り合いのような演奏を繰り広げるドラムスのトニー・ウィリアムス。この時若干23歳(彼は18歳でマイルス・バンドに抜擢されている)。グサッと入るシンバルの響き、ドドドスタッと鳴るスネア等々。イマジネイティヴなドラミングを聴いていくだけで実にスリリング。最近、ジャケットを飾るベティ・メイブリー(後にマイルス夫人となる)のアルバムを聴いたが驚いたのはクリームの演奏で有名な「ポリティシャン」(邦題「政治家」)が収録されていたこと。当時はジャズとロックの交錯が何かと試みられてたことを改めて思う。68年作。

2.トム・ウェイツ 『クロージング・タイム』

昨年夏に骨折してしまい2ヶ月半の病院生活を余儀なくされた。その時に頻繁に聴いたのがこのアルバム(スマートフォンとイヤフォンを持っていて良かった!)。私にもダイレクトに分かるほど歌詞がシンプル。ここから彼は物語的世界を深めていく。1973年、カリフォルニア州サンディエゴ、ピザハウスの夜勤で働く若き詩人の瑞々しい魂の痕跡。

3. ジェシー・ハリス 『アクアレル』

ご存知「Don’t Know Why」の作者、ジェシー・ハリス、15作目の新作。バンド名義やデュオ作をのぞいてもこれだけリリースしていたとはびっくり。飄々とした歌は相変わらずで、音楽性は変わらずとも伸びやかに熟成した印象だ。ここ最近作の中では完成度が最も高い。初来日時に彼に会う機会があったが、好きな音楽家にカエターノ・ヴェローゾを挙げたのには驚いた。当時(現在も?)ブラジルのカリスマ、カエターノの名前は合衆国では認識ゼロに近かったからだ。シンガー・ソングライターの王道を行くような彼だが、ジャズやブラジル音楽を吸収することで音楽性を豊かでかつ現代的にしていると思う。意外にも得難い個性の持ち主ではないだろうか。

4. ブラッド・メルドー 『ソングス vol.3 アート・オブ・トリオ 』

ブラッド・メルドーは毎日とは言わずとも日頃からよく聴いている。ロマンティック過剰で骨っぽいピアノ演奏。本作は70年代に夭折した英国のシンガー・ソングライター、ニック・ドレイクの不朽の名作「リヴァー・マン」を私に再認識させてくれたアルバムでもある。


19 NOAH  東京・浅草  55歳

- 洋楽編 -

* Mark Knopfler 『Down The Road Wherever』

ライヴ用のBGMを選曲してたら、80年代の Dire Straits を今年は改めて聞き直しました。当時の流行というだけでなくなにか奥深い物を彼マークから感じました。その流れで一気にその後90年代〜今にいたる彼のソロを聴き続けて、一貫したBluesを感じました。歳を追うごとに、味が出て来ている。一番新しいアルバムは「変わらない」音の魔術がいっぱい詰まっている。ローカル電車に乗りながら景色を眺めてしっかり聴いていました。

* Annie Lennox 『Nostalgia』

「You Belong To Me」が流れて来た、それはどこかの劇場で歌う、ソウルシンガーのようだ。アニーは Eurythmics からずっと好きなシンガーです。このアルバムは彼女が自由に大好きなソウルナンバーを歌っている。さらに彼女の歌の旅は続く、まだまだ歌い続けて欲しい。

* Tom Petty 『An American Treasure』

まだなかなか受け入れられないものがある。Pettyさんのことは今でも… でもこのアルバムのdisc2「The Best Of Everything」を聴いていたら、なぜかすっきりした。理由はわからないけれど。4CDのラスト迄聴いていたら、つきなみだけれど、歌は作品は声は残ると。

- 邦楽編 -

*Street Sliders 『The Singles』

今年はスライダーズファンにはクリスマスと正月とお誕生日が同時にやってきた、そんな年だったのではないか?Joy Popsの復活、ツアー、その映像とライヴアルバム… そして本アルバムだ。4CDにつめられたシングルナンバーは、復活の狼煙のようにも感じた。盛大な復活を有楽町で目撃した。18年はいったい何だったんだろう?夢はまだまだ続く、きっと2018はそのスタート、いつかこのシングルナンバーを立て続けに今度はバンドで聴かせてくれることを…

* 佐野元春 & The Hobo King Band 『自由の岸辺』

埃まみれの倉庫の忘れ去られた本棚から、忘れていた懐かしい物語達が2018年に蘇る。「夜にゆれて」のニューオリンズに驚いていたらラストの「グッドタイムス&バッドタイムス」の緩ーいレゲエまでその時間はあっという間でした。もちろん名曲ばかりですが演奏する Hobo King という匠たちの技でまさに2018年の名品に変身した。Coyote Band ともまたひと味違う、またも佐野元春にはやられた。

* Keni Inoue 『Guitar Oasis』

2007年ハワイ録音の作品が僕の手に入るのに11年かかった。ああ、なんてこった。冬の寒い朝、まだ早いドアを開けバス停へ向う外は暗い。今日の現場は電車で2時間の北関東だ。そんな時に Keni のギターが南の島へあの真夏の海へ連れてってくれた。今年一番聴いたギターインスト。しかもただのリゾートナンバーではない。そこはさすがの「夕焼け楽団」「Sunsets」「海の幸」に続くbluesも聴こえて来る。時折、バックに流れる波や風のようにキャシーのコーラスが流れるのもこのアルバムのキモになる。年の瀬からもまだまだ寒さが続く日本、こんなアルバムで暖まりたいですね。


20 芳賀 幸友  東京都  53歳

2018年は、特に夏以降近年稀に見るリリース・ラッシュでした。CDというメディア自体が今後どうなるか解らないので出せるうちに出しておこうと考えた人がたくさんいたからじゃないでしょうか?数の多さに埋もれてしまい、数年後に「隠れた名盤」みたいな形で世に出るものも、2018年作に多くなるような予感がします。

1. Ry Cooder 『The Prodigal Son』

ライは息子ヨアキムと組むようになって、ますます良くなったと感じます。このアルバムもブルーグラスやゴスペルをやりつつ、音像の処理は確実に新しさを感じます。オールドスタイルを取りながら今のアメリカ社会に物申すようなところも流石。流しっ放しだととにかく気持ち良く、2018年リリース作としては一番多く聴いた盤だと思います。

2. David Bowie 『Glastonbury 2000』

正直、このライブでのボウイは序盤あまり調子が良くないのですが、大観衆の後押しで後半どんどん調子を上げていくのが手にとるように解り、感動してしまいます。バンドの演奏は完璧。選曲もオールタイム・ベスト。映像で見ると尚感動します。

3. 七尾旅人 『Stray Dogs』

これまで、僕は七尾旅人の熱心なリスナーではありませんでしたが、これには心臓を鷲掴みされました。聴く人それぞれの人生に寄り添うような素晴らしい楽曲がたくさん入ってます。特筆すべきはブックレット。手触りや色合い、挿絵など隅々まで考えられていて、CDとしてリリースする意味を見出せる力作。ストリーミング主流の時代にモノとしての良さも知らしめるような一枚です。


21 百間  新潟県  41歳  https://twitter.com/hyakuken

1. ClariS 『Fairy Party』

2. Tokyo 7th シスターズ 『The Straight Light』

3. TrySail 『Tailwind』

以下次点(順不同)
Paul McCartney『Egypt Station』、Ry Cooder『The Prodigal Son』、David Byrne『American Utopia』、Femi Kuti『One People One World』、Juliette Armanet『Petite Amie』、Lima『Mocca』、布施明『Walk』、西村哲也『トリックスター・セッション』、石橋英子『The Dream My Bones Dream』、空気公団『僕の心に街ができて』

1は女性2人組による5thアルバム。初めて装丁に描かれた彼女達に導かれ、麗しい歌声と旋律と音が織りなす14曲の豊饒な祝宴に胸躍らせました。そして1曲1曲の彩り豊かな輝きが繋がり、響き合い、フィナーレへと加速してゆくスピードと熱量に心震えました。
2はアイドル育成&アドベンチャーゲームの3rdアルバム。「まっすぐな光を作る」1人のプロデューサーの情熱と決意を核に、声優・音楽家・制作スタッフが円陣組んで創り上げた奇跡のような THE MUSIC。耳傾ける度、その清々しさに勇気付けられました。
3は声優の麻倉もも・雨宮天・夏川椎菜のユニットの2ndアルバム。大海原を笑顔で旅するような、タフでしなやかでチャーミングな3つの歌声に耳傾ける度、その朗らかさに元気が出て、その凛々しさに背筋を伸ばし、その可憐さに心ときめきました。

2018年の音楽生活はBEST3の3組が中心にあり、音楽との向き合い方の軸になりました。そして巡り会えた素晴らしいALBUMやSONG、LIVEから貰った感動の一つ一つが心で点から線、面、立体へと繋がっていく感覚に音楽を広く深く聴き続ける喜びをかみしめました。2019年は仕事や生活が大きな転機を迎える一年、音楽との新たな出会いから貰う感動を支えに一つ一つの課題に取り組みます。


22 福田 秀貴  東京都  50歳

* Ry Cooder 『The Prodigal Son』

* Donnie Fritts 『June (A Tribute To Arthur Alexander)』

* Reggie Young 『Forever Young』

今年は自分にとって新譜が充実していたような気がしますが、その中でもよく聞いた3枚です。


23 Blue  東京都  54歳  http://blue19812nd.blog50.fc2.com/

1. 浜田真理子 『Next Teardrop』

2. 浜田真理子 『Lounge Roses』

3. 浜田真理子 『mariko』アナログ再発

浜田真理子さんが新譜を出した年は、僕にとってそのアルバムを超える作品が年内にリリースされることはないだろうといつも思っているので、デビュー20周年にあたる2018年にオリジナル、昭和歌謡のカヴァー、デビュー作のアナログ再発と、3枚の作品をリリースしてくれたので困りました。2017年の『Town Girl Blue』以来、久保田麻琴さんがプロデューサーとして関わってからの作品は、すべてがアナログ味あふれる素晴らしい音の中で、自然体かつ新しい彼女を聴かせてくれます。


24 真紀  東京都

1. The Band 『Music From Big Pink – 50th Anniversary』

これまでのミックスと何度も聴き比べをしていくうちに、このアルバムの魅力に、はまっていきました。「『Music From Big Pink』が、The Bandの中で最高のアルバムなんじゃないか?」と思うほど、2018年に一番聴いたアルバムです。

2. Donnie Fritts 『June (A Tribute To Arthur Alexander)』

Arthur Alexander の名曲を Donnie の歌声で。また、Donnie の曲の「June」。Donnie の Arthur への想いが伝わり、温かくそしてちょっと切なくなるアルバムです。私の癒しのアルバムとなりました。

3. Nick Lowe 『Tokyo Bay』

LIVEでおなじみの「Tokyo Bay」がようやく、CD化となりました。私にとって、2018年は辛いことが多い一年でした… そんな中、Nick が来日してくれたこと、このミニアルバムが発売されたこと。ホントに嬉しい出来事でした。


25 増田‘ニャロメ’和彦

1. レイ・デイヴィス 『アワ・カントリー: アメリカーナ第二幕』

2. ライ・クーダー 『プロディガル・サン』

3. ジェイホークス 『寂れたモーテルとズッと続く道と』

この3枚は私の「魂の故郷」です。
1. レイ・デイヴィスは1に続いての傑作、キンクス時代の大傑作マスウェル・ヒルビリーズの続編とも思えます。
2. ライ・クーダーは試聴してすぐにレジに行きました。マーク・ノップラーを思わせる、アイルランド風の曲もあったりして完全にやられました。
3. ジェイホークスはレイ・デイヴィスで知ったのですが、心にすっと染み入りました。解説が天辰さんなのが嬉しいです。


26 松井 慎一  神奈川県  63歳

1. Blue Rose Code 『The Water Of Leith』

聴き込むたびにのめり込んでしまう、味わい深いアルバムです。声も曲調も異なるのに、ヴァン・モリソンの名作『ヴィードン・フリース』のジャケットの様な景色が思い浮かびます。2017年に発売されたアルバムですが、今年の記憶として残っていくと思います。

2. ボブ・ディラン 『モア・ブラッド、モア・トラックス(通常版)』

当初発表予定だったニューヨーク録音だけで組まれ、バックがシンプルなためか、聴き慣れた『血の轍』以上に緊張感が感じられ、より一層、歌が「見える」気がします。(6枚組のデラックス盤も入手しましたが、その迫力・量に圧倒され、未だ全体像が掴めていない状態です。)

3. Frank Sinatra 『Only The Lonely(60周年記念盤)』

全編を通してブルー(暗い)なことは間違いありませんが、アルバム一枚を一気に聴かせてしまう、やはり凄いことだと思います。シナトラのアルバムで一番好きな「ナイス・ン・イージー」が再来年に、60周年記念盤として出されるまで、元気に暮らそうと思います。(来年の、『アビー・ロード50周年記念盤』も心待ちにしています。)

今年の通勤時ヘビロテは、ウエブVANDA周辺の方々からは「何を今更… 」と言われそうですが、「70年代のニール・セダカ」でした。『ハングリー・イアーズ』、『ダカズ・バック』、『雨に微笑みを』、『ソリテアー』等々、何度聴いても、その珠玉のメロディーに飽きることがありませんでした。(何故、この歳になるまで、気付かなかったのか、自分でも不思議です。)


27 松波 宗義  八王子市  73歳

1. オラン 『カンバス』 (2018)

2. Ned Roberts 『Outside My Mind』 (2016)

3. Larry Jon Wilson 『New Beginnings』 (1975)

2018年の前半は地元のイベントの出演者選定に係るライブ三昧、天辰さんの「ラストワルツ」40周年記念イベントに参加等充実した日々を過ごしましたが、後半はボーッとしていて出合い頭の自動車事故に遭遇、締まらない結末になつてしまいました!2019年は気を引き締めて行かなければと決意しています。

年間BEST3ですが、昨今様々な場所で精力的に活動されているSSWオランさんの新作を迷わずBEST1に挙げました。BEST2は70年代を彷彿とさせる英国SSW、BEST3は好物のSWAMP(Country Soulと言った方が正解?)で締めます。


28 Mayumi Abe  東京都  https://www.facebook.com/heartbreakers.jp

* Tom Petty 『An American Treasure』

音楽とは離れ気味の一年でした。せっかく購入したセット(一応、Super Delux なのですが…)もあまり聴いてはおらず。今年も気分の趣くままに聴いたり聴かなかったりだと思いますが、願わくば3枚の写真を載せられるようになりたいです。


29 水口 正裕  神奈川  63歳

* Kat Edmonson 『Old Fashioned Gal』

* Hailey Tuck 『Junk』

* Kacey Musgraves 『Golden Hour』

雰囲気はノスタルジックだけど音像は新鮮な女性シンガーの3枚。楽曲も素晴らしい。他にも、Madeleine Peyroux『Anthem』とか Eddi Reader『Cavalier』とか……。Kacey Musgraves はどカントリーなシングル「Kansas City Star」もよかった。

アルバムは出なかったが、ラジオ番組「Live From Here」に準レギュラーで出ている Gaby Moreno にはシビレっぱなし。Van Dyke Parks と出したタイムリーなシングル「The Immigrants」は忘れがたい。……と言いつつ、研究を兼ねて一番よく聴いたのは、Renee Fleming『Broadway』。


30 MOTO (斉藤元博)  西東京市  53歳

2018年の後半は、仕事と私事に忙殺されて心に余裕が持てず。音楽と距離を置くことが多くなった。人との関わりに救いを求め。たくさんの応えをもらった。きっと2019年はもっと身近に音楽を置けそうだ。そういう喜びをもっと大きく広める活動も。

1. O.S.T 『The Shape Of Water』

ファンタジー映画ながら60年代のアメリカを舞台に、レトロというには新鮮過ぎるセンスで物語の背景を巧みに表現。ジェンダー、障害者、移民(異人種)差別の根深さをしっかりとストーリーの核に据えながら説教臭さを一切感じさせず、ピュアで愛に溢れたおとぎ話の展開のバネにしてしまうギレルモ・デル・トロ監督の手腕に感服。鮮やかなハッピー・エンドとエンドロールを彩った Alexandre Desplat 「You’ll Never Know」の歌声がいつまでも忘れられず、今年一番心に残った音楽になった。

2. Lou Ann Barton 『Old Enough』

自分にとってのスタンダードだけ残すことを考えながら所有するアナログ盤の断捨離と欠けてる必須アイテムを安く入手することを目指した2018年。その最大の収穫がルー・アンだった。サム・シェパードの著書「モーテル・クロニクルズ」の一節で目にしたテキサスのローカル歌手のその正体がずっと気になっていた20代の頃。渡米して探しても見つからなかった盤は、それから30年の月日を経て、いとも簡単に某中古レコードチェーン店の新入荷コーナーから…。

3. The Sandpipers 『A Gift Of Song』

江古田のおと虫、池袋の八勝堂など愛着のあった中古レコードの漁場が続々と閉店した2018年。自分を取り巻く環境の変化や家族に残すもの(いや残しちゃいけないものか!?)を意識して、生活をもっとシンプルに身軽にしたいと考え始めた。八勝堂で最後に入手したサンドパイパーズ、この店らしくて印象深い。


31 森 陽馬  東京都  45歳

* イトウサチ&ブンケンバレエ団 『きぼうのうた』

女性シンガー・ソングライター、イトウサチの凛とした歌声と、東京ローカル・ホンクの2人による滋味深い演奏が心の隙間を優しく埋めてくれる作品。2曲目「風の子」、♪半そで半ズボン♪耳に残ります。

* 冬にわかれて 『なんにもいらない』

寺尾紗穂、伊賀航、あだち麗三郎が組んだ3人バンド。切ない1曲目「君の街」、心の揺れが描かれた8曲目「なんにもいらない」聴きもの。バンド名は尾崎翠の詩から。

* 星野源 『Pop Virus』

2018年日本ポップスを代表する名盤。ポップスには楽しさだけでなく、切なさやさびしさも内包していることを気付かせてくれた1枚。


32 Yukico  東京都   51歳

* 佐野元春 『自由の岸辺』

* 浜田真理子 『ネクスト・ティアドロップ』

* Darjeeling 『8芯二葉~月団扇Blend』


33 良知 範一  静岡市  62歳

* Tom Petty 『An American Treasure (Deluxe)』

未発表曲やライブ音源など違った魅力が詰まった良い曲ばかり。こうやって4枚のCDにまとめられた事が嬉しい!

* Donnie Fritts 『June (A Tribute To Arthur Alexander)』

渋く心に染み入る曲が、秋の夜長しんみりしてしまいました。まだまだ頑張って欲しい一人です。

* Boz Scaggs 『Out Of The Blues』

ブルースが本当に好きなんだなあと感じるし、そして凄く似合ってます。是非一度ライブを見たい。

今年はこの三枚をよく聴きました。あと Jayhawks『Back Roads And Abandoned Motels』は安定した良さ。そして Valerie Carter『The Lost Tapes』は聴く事が出来て嬉しかった一枚です。


34 若松 隆  埼玉県戸田市

1. Paul Simon 『In The Blue Light』

2. Eric Clapton 『Happy Xmas』

3. Bob Dylan 『More Blood, More Tracks – The Bootleg Series Vol. 14』

ポール・サイモンとエリック・クラプトン。2人の、この2枚の新作をきっかけに、再度これまでのアルバムを含めて熱心に聴く日々が続きました。新作は、どちらも年齢を重ねたからこそ作ることのできたアルバムだと感じています。また、ボブ・ディランはフジロックフェスティバルでの感動的なステージに敬意を表して、ブートレッグシリーズの新作を選びました。今回の内容も素晴らしく、ボブ・ディランの凄さをさらに知ることになりました。


35 天辰 保文  千葉県  69歳

* Ry Cooder 『The Prodigal Son』(fantasyrecording)

出会った頃の感じに戻った印象を受けた。やりたいことだけをしっかりやる、そんな覚悟みたいなものが感じられて、聴いてるこちらが、しっかりしろと気合を入れられたようでした。

* Marianne Faithfull 『Negative Capability』(panta rei)

タイトルは、英国の詩人ジョン・キーツの提唱に由来するものらしく、17才で彼女を人生の荒波に導いた「涙あふれて」を、70才を超えて改めて歌っています。その歌声から滲み出る切なさに、歌を聴く喜びというようなものが寄り添っていて、しみじみと胸がうたれました。他に、ディランのカバーがあったり、ニック・ケイヴと一緒に歌っていたりしています。

* Paul Simon 『In The Blue Light』(sony)

ライヴ活動からの引退表明に合わせて発表されたセルフ・カバー集です。「想いこがれて」をはじめとして、その選曲にもため息がつきましたが、シンプルなのにきめ細やかで、若い人たちとの共演を含めての新しい創意といい、豊かな音楽というのに触れる喜びに改めて触れたような気がしました。


今年も、こうやって皆さんと一緒に best3 を楽しむことができました。参加してくださった皆さん、ありがとうございます。嫌な世の中、というか、暮しにくい、生きにくい社会になってきたなあと、ますます、部屋に閉じ困る傾向が強くなってきそうですが、その危機感をしっかりと受け止め、いろんな矛盾を抱え込みながらも、気を引き締めて過ごそうと、思っているところです。皆さんにとって健やかな年でありますように、また、1年後にお会いしましょう。

2019年 1月 天辰保文