今年出会ったアルバム 「BEST 3」 * 2022年


1 赤谷 隆一  インド、ニューデリー(2021年8月より再渡印)  66歳

1. ブルース・スプリングスティーン&Eストリート・バンド 『ノー・ニュークス・コンサート1979』

新作が出たばかりのようですが、聴けていないので昨年に聴いたものでご容赦ください。このコンサート映像を若い時に見た際、「リヴァー」でのボスが一瞬眼を拭うシーンが映されたのですが、汗を拭ったのでなく涙を拭ったのだずっと思っていました。何故ならそのあとの「ロザリータ」などでのボスの暴れ具合が凄かったので…。

2. エリック・クラプトン 『ナッシング・バット・ザ・ブルース』

『フロム・ザ・クレイドル』ツアー時だそうですが、そのアルバムよりずっと荒々しい本能のような演奏です。特にGとVo.とハーモニカ。彼はホントはやんちゃでダンディとは程遠い。レイラーって泣き叫んで自分じゃどうしようも出来なくて代わりにD.オールマンに悲鳴のようなスライドを弾いてもらったのだと再認識です。

番外2点…
① 桑田佳祐 feat. 佐野元春, 世良公則, Char, 野口五郎 「時代遅れのロックンロールバンド」
やってくれましたね先輩たち!毎年1曲は作って吠えていっていただきたい、是非とも。

② インド、バラナシの12月の夜のガンジス河畔での僧侶さんたちの歌と踊り
現地では有名な曲群を歌っていたと思いますが、その混沌とパワーの集会(ショー?)は少なからずエネルギーの磁場でした。河の方から俯瞰で見て呆然とした10年目のインドでの経験でした。

3月のジャクソン・ブラウン来日は久々に生で聴くために一時帰国します。コロナもそうでしたが、この1年の間に想像できなかったことが起きました。世界は脆弱の上に成り立っていると再認識しながら、皆さんどうぞお変わりなくお元気でまた。


2 伊東 潔  我孫子市  67歳

* Numcha 『Bloom』 (2022)

* Plastic Plastic 『Anything Goes』 (2019)

* 阿佐ヶ谷ロマンティクス 『大人幻想』 (2022)

2022年、私はタイのポップ・ミュージックをよく耳にする一年でした。そのきっかけを作ったのは、冒頭にあげた女性シンガー・ソングライターの Numcha。彼女の今まで配信でリリースされていた曲を集めた待望のCDアルバム。日本のシティ・ポップや英米のソウル・ミュージック等の影響を感じながら、心地よい歌唱とサウンドが良かったです。
タイのポップ・ミュージックの「沼」にはまった次のミュージシャンが兄妹の Plastic Plasticという二人。2022年配信リリースの”Pillow Pillow”の出会いから、彼らの旧譜の”Anything Goes”を購入。妹さんの歌唱が彼らの作るポップなサウンド(お兄さんが作曲)といいあんばいでマッチして聴いていて心地よいのです。
日本のインディーズのバンドの阿佐ヶ谷ロマンティクスの待望の3枚目のアルバム。ここ数年のコロナ禍で配信でリリースしていた曲を中心にしたアルバム(先日アナログ盤もリリース)。女性リード・ヴォーカルの歌唱が柔らかさと透明感があり、いいんです。加えてバンドのリーダーが作るメロディーもバンドサウンドもワタシ好み。

あと、鈴木祥子の『私的讃美歌集1.』、Beabadoobeeの”Beatopia”、インディーズの kiss the gambler の”LIVE CDR”シリーズ等もよく聴きました。NPR Music の YouTube での Tiny Desk Concert はよく見ていて、なかでもKing Princess、Lizzy McAlpine、Isley Brothers、Joyce Wrice、Amber Mark のそれぞれのライヴ映像は強い印象を受けました。


3 川勝 敏弘  群馬県  64歳

1. Taj Mahal & Ry Cooder 『Get On Board』

2. Bonnie Raitt 『Just Like That…』

3. Dr. John 『Things Happen That Way』

1 タイトル曲はブラウニー・マギー&ソニー・テリーの1952年の作品で再発盤を1974年に輸入盤で購入した思い入れのある作品の再演に驚きました。
2 前作ディグ・イン・ディープから約6年振り、通算21作目のスタジオ・アルバム。初めて彼女のレコードを聴いたのは1973年で2作目の『Give It Up』(邦題 ボニー・レイット登場)で今でも出だしのスライド・ギターが記憶に残ってます。
3 2019年6月6日にに心臓発作で77歳で亡くなったドクター・ジョンの遺作となる作品。亡くなった時新しいアルバムを制作中であれから3年後にリリースされたのがこのアルバムですね。

その他には新譜はヴァン・モリスン、メイヴィス・ステイプルズ&レヴォン・ヘルム、グラハム・ナッシュ・ライヴ、ダン・ペン、ニール・ヤングなど。コンピものはウィリアム・ベル、レナード・コーエン、エリック・アンダーセンのトリビュートなど。再発ものはグレイトフル・デッド『ヨーロッパ’72』、デッドのロンドン公演の前座のニュー・ライダーズ・オブ・ザ・パープル・セージのライヴなど。ボックスものはプレインソング、リトル・フィート、ニール・ヤング『ハーヴェスト』、ビーチボーイズ『セイル・オン・セイラー1972』など。

1970年代から聴いて来たアーティストばかりですが、当時は10代でしたが還暦を過ぎた現在の方がしっくり来ますね。残念なことは小坂 忠さんが4月29日に73歳で亡くなりました。1971年10月に新譜で購入した『ありがとう』以降ずっと新譜が出る度に聴いて来たのでとても悲しいですね。


4 キーノ  東京都  64歳  https://blog.goo.ne.jp/kino1958

- 新譜編 -

1. Bonny Light Horseman 『Rolling Golden Holly』

Anais MitchellとEric D. Johnsonのツイン・ボーカルにプロデューサーでもある Josh Kaufman が舵取りをする現代のフォーク・トリオ。前作に負けず劣らずこの2ndでのフォーキー・サウンドも素晴らしい。ゆったりとした音に二人のボーカルが絡み合っていく。Eric メインの”Someone To Weep For Me”は個人的なキラー・チューンで何度となく繰り返し聴かせてもらった。

2. Mary Gauthier 『Dark Enough To See The Stars』

Lucinda Williams の『Car Weels On A Gravel Road』を思い出させてくれるような Mary の新譜が素晴らしい。1位にしてもよい位の1枚!10曲中9曲を競作とした事が各曲を研ぎ澄ませたのなら成功だろう。出しゃばらないバックの演奏が更に曲を輝かせてくれた。どの曲も染みるが、「Amsterdam」に心惹かれる。

3. Dr. John 『Things Happen That Way』

生前最後のレコーディングはプロデュースにも名を連ね、ほぼ完成していた所から発掘ではなく新譜として捉えた。自身の新曲は10曲中競作3曲のみだが、カバーも再録もまがう事なきドクター節で堪能!最後に素晴しい演奏を残してくれて、笑顔でお別れができました。

- 再発・発掘編 -

1. B.J. Thomas 『In Remembrance Love Songs & Lost Treasures』

2. Valerie Carter 『The Lost Tapes Vol.2』

3. Mavis Staples & Levon Helm 『Carry Me Home』

1は 昨年5月に亡くなった B.J. Thomas の90年代のアウトテイク等未発表曲が18曲中13曲とは何とも嬉しい!何故にお蔵入りしていたのか分からない程に素晴らしい歌いっぷりに痺れます。大好きな「Rock And Roll Lullaby」も別テイクが収められている。作家と歌手が分業の幸せな時代を体現した一人でした。
2はロストテープスのまさかの第2集が登場。Hirth Martinez がリード・ボーカルの曲が収録されるなど、少し薄口になっているのは致し方なし。それでも彼女のふくよかな歌声をまとめて聴ける事に感謝しつつ聴き惚れる日々。再発・発掘編の常連さんです。もう彼女の亡くなった歳に追いついてしまった………。佐橋佳幸とのジョイント、名古屋でのソロ、JTとJBのバックコーラスと少なからず彼女の生歌に接しられたのは幸せだった。
3は2011年のレヴォン・ヘルム・スタジオの共演ライヴが唐突にリリースされる報を聞いた時の驚きと喜びは半端ではなかった。ラストワルツ(但しスタジオ)での The Band と The Staples の素晴らしい共演を思い出す人も多いに違いない。Mavis は彼女のバンドと Levon のバンドをバックにイキイキと歌いまくる。共演というよりも彼女のLIVE盤と言ってもよい位だ。Levon の歌声が聴けるのは終曲の「The Weight」だけだと思うが、彼らしいドラムスは随所に聴ける。壮絶なるスワンソング!


5 齋藤 皓太  千葉県  68歳

1. David Bowie 『TOY』

間違いなく今年一番聴いた盤。なぜこれがボツだったのか全く分からない。これが認められていれば、その後の展開も変わったろうに。「スペース・オデッセイ」で認められる前の曲を、実に丁寧に愛情深く作品化している。

2. Neil Young with Crazy Horse 『World Record』

今年何枚出したんだろう?どれも楽しんだが、湯気ホカホカの新作は少年たちがスタジオで合わせているような手作り感半端なくて、これが最高でした。No more War, Only Love という歌詞に照れてる場合ではない!ニルスの貢献も美しい。

3. Fastball 『Deep End』

人によっては「The Way」一曲のバンドかもしれないけど、実にコンスタントに良いアルバムを出している。今作は「うお!」っという曲は少ないけど打率はいい。「グローイン グローイング ゴーン」なんてまるでディランみたいなタイトルだ。

4. Bruce Springsteen 『Only The Strong Survive』

気持ちよさそうに唄ってますよね。でもこの企画ばかりでは困る気がする。ちゃんとEストリートと作ったうえでお遊びください。でも結構車では流しています。

5. Mavis Staples & Levon Helm 『Carry Me Home』

実質メイヴィスの新盤だけど、リヴォンのドラムスの音が涙ものですね。後半の選曲なんかはリヴォンっぽい感じがする。

次点はボニー・レイの新盤とライがタジと遊ぶ盤です。


6 坂下 栄一  東京都   65歳

* Richie Furay 『In The Country』

多分80歳に近いと思いますが、全然歌声は変わらず嬉しく聞きまくっていました。次回は全てオリジナルのアルバムを期待します、いつまでも待ちます。

* Little Feat 『Waiting for Columbus』

8枚組は嬉しい拷問でした、忘れかけていた1978年の来日コンサートを思い出していました。

* Tom Petty & The Heartbreakers 『Live at the Fillmore 1997』

オリジナルだけではなくカバー曲もたくさんありとても楽しめました、後どの位、未発表物があるのかとても楽しみです。


7 笹野 恒夫  神奈川県  68歳  http://cypressave.d.dooo.jp

* Marianne Faithfull 『Songs of Innocence and Experience 1965-1995』(2022)

* Neil Young & Crazy Horse 『Barn』(2021)

* Elvis Costello & The Imposters 『The Boy Named If 』(2022)

* Bruce Springsteen 『Only The Strong Survive 』(2022)

今回は4枚になってしまいました。
もう1枚、『Revolver』のリミックスは、目から鱗、でした。


8 高橋 俊博  東京都  60歳  https://twitter.com/heartbreakersjp

* Tom Petty & The Heartbreakers 『Live at the Fillmore 1997』

1997年に行われたサンフランシスコの<The Fillmore>での連続20公演をまとめたボックスセット。私は58曲入りのアナログ盤6枚組と33曲入りのCD2枚組を購入。円安の影響を受けてかなりの高額になりましたが、手元に届いた音源たちは金額以上の質と内容のアルバムでした。<The Fillmore>でのライヴはいつも以上にカヴァー曲を演奏していたので、今作の収録曲の半分以上がカヴァーで占められています。これらを聞くと彼らが最高のR&Rバンドの1つであったことがあらためて実感できました。そして「この時期の TP&HBのライヴを見てみたかった」と. . . もう叶わぬ夢ですが、わかっていてもそう思ってしまうほど最高の演奏がここには詰まっています。このアルバムをあまりにも好きになり過ぎて、カヴァー曲のオリジナル版を集めて勝手に『The Roots of Live at the Fillmore』と名付けて楽しんでいます。

* The Everly Brothers 『Hey Doll Baby』

既発表作を集めたコンピレーションですが、編纂したのが Tom Pettyの長女 Adria Petty。意外な組み合わせに思えますが Tom は The Everly Brothers の大ファンで80年代からは2人と親交があり、その縁で彼女もファンになったそうです。ちなみに娘さん(Tomのたった一人の孫娘)の名前は Everly。デュオから名前を頂戴しています。珍しい曲はありませんが、カヴァーやアルバムの佳曲を収録するなど意外な選曲もあり、昔からのファンを満足させるだけでなく、これから聞いてみようと思っている人にとって格好の入門アルバムになっています。今年の初夏はこのアルバムしか聞いていなかったと言っても過言でないくらい気に入った1枚です。

* OST『Echo in the Canyon』

2019年のBest3にも選んだ1枚ですが、同映画が<日本で劇場公開される>という夢のような出来事が今年実現したので再度登場させました。1960年代半ばのロサンゼルスの音楽シーンに焦点を当てた映画のサントラ盤ですが、映像のプロデューサーを務めた Jakob Dylan が中心となって当時の曲を単純にカヴァーするだけではなく現代的な解釈で名曲たちを甦らせてくれています。Tom Petty 好きとしては彼の生前最後の映画出演作ということもあって、その元気な姿を見るために東京だけでなく地方の上映館も訪れてしまいました。1枚目の『Live at the Fillmore』同様、これもサントラに収録された曲のオリジナルを集め、さらに未収録の名曲たちも一緒にして個人的なサントラを作って聞いています。そうしているうちに映画のパンフレットに寄稿された天辰さんの「1960年代から70年代にかけてのカリフォルニアほど、音楽の収穫が豊かで、沢山の物語が生まれた場所はない」という言葉がとてもリアルに胸に響いてきました。


9 Tak.“SPIKE”  岡山県  60歳

2022年もコロナが収束せず、いろいろと制約のある生活でしたが、だいぶ「コロナ前」に戻った部分もあったでしょうか。ただ、自分的にはまだ、コンサートに出かけることは憚られるため、相変わらず家にこもって音楽を楽しむ生活ではありました。そんな私の3枚ですが…

* Bedouine 『Waysides』

YouTubeで偶然出会った、Bedouine, Waxahatchee, Hurray for the Riff Raff による Big Star の「Thirteen」のカヴァーがとてもステキで、このアルバムに辿り着きました。この3人はどうやって知り合ったのか興味がありますね。

* The Beths 『Expert In A Dying Field』

これまたYouTubeでおススメになっていたアーティストですが、ニュージーランド出身ということで、Neil FinnのPOPさを継承しているのかな?Luluc とか Hollow Coves とか、オーストラリア出身のバンドでお気に入りの人たちもいるし、オセアニアにも注目せねば!

* Madison Cunningham 『Revealer』

Molly Tuttle や I’m With Her のメンバーたちとも絡むことが多くて、気にかけている人ですが、今年新しいレコードが出ました。過去作よりちとPOPな印象もありますが、ヴォーカルもギターもいいですね。

ということで、この他に Molly Tuttle、Aoife O’donovan、Watkins Family Hour、Joan Shelly、Roly Block、Michelle Willis、Maggie Rogers などなど、女性アーティストばかり をよく聴いていました。つい最近では Phoebe Bridgers のクリスマス・ミニアルバムも秀 逸な出来栄えでしたが、配信のみなのが私には残念でした。


10 田中 一也  京都府  55歳

1. Paul Brady 『May Be So』

新作がこんなにも早く届けられたことが嬉しい。優しく、力強く、益々滋味深い歌と演奏。年末に The Music Plant 社から発売された書籍も素晴らしかったです。

2. Taj Mahal & Ry Cooder『Get On Board』

初共演から約60年という二人が、共通のルーツというか血肉と言ってよいほど身についた音を新録のアルバムとして発表してくれました。大切に聴かねばと思います。

3. PJ Moore & Co. 『When A Good Day Comes』

The Blue Nile の元メンバー ポール・ジョゼフ・ムーアが美しいアルバムを届けてくれました。The Blue Nile で PJさんが何を担っていたかを感じられて嬉しいです。

2021年の秋にウルトラハイリスクに分類される癌が見つかり突如死を覚悟することとなりましたが、それは、同時に自分の人生や価値観を見直す日々ともなりました。2度の内視鏡オペ、年を跨いで3か月の抗癌剤治療の後、3月に大手術を受けました。とりあえず今、ほぼ普通に生きていられることにただただ感謝。体調が悪すぎて音楽すら聴けなかった時間もありましたが、やはりこの3作も含めて新旧の音楽から、潤い、栄養、力、、、をもらいました。音楽が好きで良かった。
矢吹申彦さん、ウイルコ・ジョンソン、クリスティン・マクヴィー、テリー・ホールと大好きな人たちが逝ってしまいました。長い間素晴らしい作品をありがとうございました。


11 土橋 博雄  東京都  65歳

のっけから何ですが、2022年は人生最悪の年でした。4月に30年来のパートナーが苦しい闘病の末に天に召され、情けないことに僕はもぬけの殻。自らの体調不良もあり、ひたすら引きこもっていたのですが、唯一の救いが音楽でした。

寺尾紗穂さんは、誠に失礼ながら、今まで聴いたことがなかったのですが、9月に浜田真理子さんとのデュオを「月見ル君想フ」に聴きに行き、すっかり魅了されました。当日、真理子さんのことが大好きで生演奏を聴くことを熱望していた(残念ながら叶いませんでしたが…)亡き彼女も、確実にその場に居たと思います。辛気くさい話で恐縮でした。皆さまにとり善き年となりますように。

1. 寺尾紗穂『余白のメロディ』

2. Daniel Lanois 『Player, Piano』

3. Neil Young with Crazy Horse 『World Record』


12 筒井 義樹  栃木県宇都宮市  58歳

* Linda Hoover 『I Mean To Shine』

* Dr. John 『Things Happen That Way』

* Tommy McLain 『I Ran Down Every Dream』

聴いた順。Dr. John は まだまだ生きているようで。。。どれもが素晴らしい。3枚が難しい一年でした。


13 ナシゴレン NOAH  東京・浅草

1. 佐野元春 『今、何処』

こんな時代でもライヴにレコーディングに走り続ける、ロックの良心佐野元春の最新アルバムは、夏に届けられた。そのどれもが「この空白の3年間に君は何処にいた?」とでも聞かれているような、ある歌では確認をさせられ、ある歌では背中を押され、それでも何度聴いてみてもその答えはまだ見つからない。どうやらこの春からスタートするコヨーテ達とのツアーでその真の答えが見つかるかもしれない。

2. Doctor 『Transparent Eyes』

Bo Gumbos の Dr. KyOn のデビュー前京大時代の自主制作盤、ラジオ収録のためにスタジオにお招きしたときに不意に袋から取り出されプレゼントされた、幻のレコード。1984年レコーディング、1990年発表のまさに当時の音を完全真空パック。針を落とすと、恐ろしいくらいに既に出来上がっている。ロックンロールの産声が聞こえる。ルーツ音楽の継承者である氏の記念すべき処女作にして傑作。

3. Tom Petty & The Heartbreakers 『Live at the Fillmore 1997』

今年のトムペティの新作が届いた。90年代のバンドとの軌跡ではあるが、ちっとも古さを感じない。すぐそばでバンドが演奏しているかのよう。その選曲の大部分を占めるのがR&R、R&Bの名曲達のカヴァー。古くは1985年の『Pack up the plantation』をきっかけに彼らからまるでロック事典を開いて学んだように、この作品集からまたまたさまざまなロックの昔話が聞ける喜び。

(ボーナストラック) ハリケンセッション#1 『流れ者のブルース』

2022年夏・都内某所スタジオに集結した日本ロックの伝説達、古田たかし Dr/井上富雄 Bass/長田進 Gt/NOAH Vo/Agt。奇跡のセッションの記録。まさに旅する奴らの楽き人生のブルースを歌う。(配信シングル)


14 Nobumitsu Shimizu  神奈川  69歳

* Neil Young 『Harvest 50th Anniversary Edition』

誕生秘話 Harvest Time(DVD)こんなフィルムが、50年も眠っていたとは … 幸せ。

* 中島みゆき 『2020 ラスト・ツアー 結果オーライ』

絶品。「この世に二人だけ」「永遠の嘘をついてくれ」大好き。

* Bob Dylan 『1970』

地下室よりも Laid Back な感じ、い〜。


15 百間  新潟県  45歳  https://twitter.com/hyakuken

1. ClariS 『Parfaitone』

2. ClariS『Winter Tracks – 冬のうた -』

3. harmoe『It’s a Small World』

以下次点(邦楽50音順、洋楽ABC順)
ムーンライダーズ『It’s the moooonriders』、馬場俊英『Q&A』、鈴木実貴子ズ『最終兵器は自由』、SixTONES 『City』、Photon Maiden『4 Phenomena』、Lass『 Bumayé』、Bonnie Raitt『Just Like That…』、Dowdelin 『Lanmou Lanmou』、Nina Girma 『Majete』、Mike Cooper 『Oceans of Milk and Treacle』

1は女性歌手二人組の6thオリジナルアルバム。「多彩で完璧な音楽」目指したタイトルに相応しい、磨き抜かれた1曲1曲が野球の打線のように緩急つけて配置され、後半短いインスト細かく挿んでテンポ作ってクライマックスまで導く構成も聴き手の想像力膨らませ素晴らしく、「アルバムで音楽聴く面白さ」堪能しました。

2は女性歌手二人組の「冬」をテーマにしたミニアルバム。美しくも凍てつく季節の真っ暗な夜照らす灯火のような輝き、真っ白な景色に彩り豊かな輪郭描くような暖かさ、寒さに縮こまった心奮い立たせる熱さ、感傷に寄り添うような優しさ湛えた、「多彩で濃密な歌声の素晴らしさ」堪能しました。

3は女性声優二人組のデビューアルバム。「おとぎ話」モチーフにした懐かしくも新しい世界観を歌うコンセプトに相応しい、物語に寄り添う柔らかい歌声には、モチーフ飛び越えた未知なる場所まで聴き手を連れてゆく、伸びやかな頼もしさも感じて、「溌剌として音を楽しむ喜び」堪能しました。

流行り病や不穏な世情に人事異動等、仕事や生活を取り巻く環境が大きく動いた1年でした。音楽生活に関しては、今年も心に響く新譜との出会いに多く恵まれ、長く応援しているアーティストの大躍進や縁薄くなっていたアーティストとの再会が特に印象的でした。現地LIVE参加等、STAY HOME「以前」のスタイルが戻りつつあり嬉しい一方、配信LIVE等のSTAY HOME「以降」に馴染んだスタイルも捨てがたく、どう融合・再構築してゆくかが2023年のテーマです。


16 福田 秀貴  東京都  54歳

* Bonnie Raitt 『Just Like That…』

* Mavis Staples & Levon Helm 『Carry Me Home』

* Molly Tuttle & Golden Highway 『Crooked Tree』

今年も色々な音楽との出会いがありましたが、よく聞いたのはこの3枚でした。


17 真紀  東京都

1. Watkins Family Hour 『Watkins Family Hour Vol.II』

2. Mavis Staples & Levon Helm 『Carry Me Home』

3. Punch Brothers 『Hell On Church Street』

すべて、マンドリンが入っていますね(笑)。より一層、マンドリンに夢中になった1年だったのかもしれません。でも、Best3のアルバムは、それだけが魅力で選んだわけじゃないですよ。

1 アルバム全体の穏やかな雰囲気に大変癒されました。声も楽器の音色もたまらなく好きです。
2 こんなすごい音源があったなんて。大好きな Levon に再会できると思っていなかったので、すごく嬉しかったです。
3 バンドのクオリティがますます高くなっていて、ほんとかっこいいです。Chris Thile みたいにマンドリンを弾けたらいいのになぁ。


18 松井 愼一  神奈川県  67歳

1. Little Feat 『Waiting for Columbus』

78年の中野サンプラザ、初来日終演後の「何か、凄いものを聴いた!」という感想(感覚)を今でもはっきりと覚えています。拡張・再発された本盤ですが、8枚組CDのいずれを聴いても、その想いは変わりません。

2. Grateful Dead 『Lyceum Theatre, London, England 5/26/72』

今年もDeadのライヴ盤を多数聴きました。忘れた頃(?)3ヶ月毎に郵送されて来る Daves Pick’s シリーズに加え、再発された本盤の China Cat Flower から I Know You Rider のメドレーに改めて聴き入りました。

3. Neil Young + Promise Of The Real 『Noise & Flowers』

昨年来、多数のライヴ盤をリリースしてくれているニール・ヤングですが、いずれもお気に入りです。本番は新旧取り混ぜた選曲・各曲への「気合い」の高さが際立っていて、何度も聴いています。

番外: 2年遅れで聴いた Steve Forbert 『Early Morning Rain』ですが、これほど一曲一曲を大切に採り上げて(歌って)いるカバー・アルバムには滅多に出会えない、という気がしました。


19 松波 宗義  八王子市  77歳

1. Johnny Blackburn & Mary Lauren 『Echoes Of Love’s Reality』 (’81)

2. Linda Hoover 『I Mean To Shine』(’70)

3. Billy Hallquist 『Persephne』 (’73)

2022年、世間的には、コロナ禍、ウクライナ戦争、安倍元首相銃撃事件、旧統一教会問題、物価高・円安、軍事費倍増問題、個人的には、フィッシング詐欺に遭遇と暗い話題ばかりの年になってしまいました😢

嬉しかったのは、数年ぶりに天辰さんのイベントに参加してお話し出来た事ですね!!! 来年もイベントが有れば又参加したいです!!!

Best3の選定については、特にコメントはありませんが、良いアルバムである事は間違いないです。


20 Mayumi Abe  東京都  https://www.facebook.com/heartbreakers.jp

* Tom Petty & The Heartbreakers 『Live at the Fillmore 1997』

* Original Soundtrack『Echo in the Canyon』

* Watkins Family Hour 『Watkins Family Hour Vol.II』

TP&HBのファンとなり彼らのライヴ詣でを始めたのはこの Fillmore 公演がきっかけでした。それがこうしてリリースされたのは何よりも嬉しい出来事です。アルバムを聴きながらあの時のクラクラするような感覚をかみしめています。
「エコー・イン・ザ・キャニオン」は劇場公開に歓喜して各所で5回ほど観ました。今年もまだスクリーンで観るチャンスがありそうなので出掛けてみようと思います。


21 水口正裕  神奈川県  67歳

1. Caroline Shaw / Attacca Quartet『Evergreen』

2. Leonidas Kavakos 『Bach Sei Solo Kavakos』

3. 高田漣 『Concert For Modern Times』

4年ほど前から自身のミュージカル体験を振り返るブログをやっているのですが、2022年になってから更新を(ほぼ)毎日と定めまして、そのために(ほぼ)毎日、新旧のミュージカルのキャスト・アルバムその他を聴き続ける日々でした。上掲3作は、その合間によく聴いたアルバムです。と言っても「3」は暮れ近くなってのリリースですが。リリース後のビルボードでのライヴもよかった。ライヴと言えば「1」のAttacca Quartet。鶴見の小さなホールでの来日公演には興奮しました。パンクな気配すら漂う弦カル。そう言えば、3作とも弦絡みですね。


22 光実 保好  岡山県  58歳

業界のヒトでもなく、一音楽ファンですが、毎年皆さんの投票作品を楽しみに拝見させていただいております。せっかくなので、今回初めて書かせていただきます。どうぞお手柔らかにお願いいたします。
図らずも、3枚とも女性ボーカルものになりました。来年も素敵な音楽に出会えますように。

1. Faye Webster 『Atlanta Millionaires Club』

2019年発売ですが、完全に見落としてました。遅まきながら個人的に今年最大の発見。楽曲の素晴らしさは勿論のことですが、音響面で痺れまくりです。スティールギターが染める空間の底の方で鳴るベースの音は低く深く下支えしていて音圧が気持ち良すぎます。

2. Lake Street Dive 『Fun Machine: The Sequel』

優れた編曲力と活力あふれる演奏力。想像するに理想的なバンドの1つのかたち。年末は彼らのライブ映像を YouTube でずっと見てましたが、その演奏力に惚れ惚れしっぱなし。こんなバンドを組んでみたい!エッジの効いた演奏は、レコードよりライブのほうがより楽しめると思います。また、映像で多数見られるカバー曲(Beatles, Queen, The Traveling Wilburys, Hall and Oates)におけるコスプレも茶目っ気たっぷりで彼らの懐の深さを感じます。

3. Delfina Mancardo 『Octante』

サッカーW杯 祝!アルゼンチン優勝。こんな歴史的な名勝負を見られたなんて、全くもって凄いことでした。 で、アルゼンチン女子の新星。全くの予備知識なしで耳にしましたが一気に引き込まれました。少しタイプは異なりますが、Rickie Lee Jones が登場してきた時のことに思いを馳せました。


23 MOTO  西東京市  57歳

1. Breithaupt Brothers 『Just Passing Through ~ The Breithaupt Brothers SongBook Vol.2』

2. Linda Ronstadt feat. Aaron Neville 『Cry Like A Rainstorm, Howl Like The Wind』

3. Brian Wilson 『At My Piano』

いつにも増してエンタメを意識して生活を送った年だった。が、新しい作品については、聴き流すつもりじゃなかったにも関わらずサブスクを利用することで満たされて、手に取って聴くタイトルは少なくなった。それに反して、Want List を眺めては中古のアナログ盤を探したり。音楽の楽しみ方もアフター・コロナのフェーズに、個人的には突入しているんだろう。そんな中でも例外的な理由で購入したタイトルをベストとして挙げたい。

1 はサブスクで聴いたマーク・ジョーダン&エイミー・スカイの新譜関連作として自動レコメンドされたコンピ。SD好きの兄弟ユニットが自作曲を様々なアーティストに歌わせている。中でもロン・セクスミスとの意外な組み合わせが。とてつもない化学反応を起こしていて印象的だ。ニューヨークのジャズクラブ!?で開催されたワンナイトイベントのような趣が楽しい。
2 は、今年公開されたリンダのドキュメンタリー映画「The Sound Of My Voice」にフィーチャーされた同タイトルの曲が、ずっと愛聴してきたCDではなく、どうしてもアナログ盤で聴きたくなって捜して見つけた。
3 は、ジャケ買いです(笑)。しかし、アナログで聴くための十分な理由になるぐらいブライアンの鍵盤に触れる優しいタッチさえ聞き取れそうな臨場感が素晴らしいアルバムだった。


24 森 陽馬  東京都  48歳

2022年もニール・ヤングはたくさんの作品をリリースしました。その中から印象に残った3曲を選んでみました。

* Neil Young with Crazy Horse「Chevrolet」 (アルバム『World Record』より)

「過去に一度だけ道を誤ったが、それはもう引き返せない道。既に曲がってしまった道だ。」というニールらしい歌詞の一節にグッときました。

* Neil Young「I Am A Child」(Live)(アルバム『Dorothy Chandler Pavilion 1971』より)

『Harvest Moon』(1992)の収録曲「You And Me」の歌詞部分を出だしですでに歌っている1971年のライヴ音源。

* Neil Young + Promise Of The Real 「I’ve Been Waiting For You」(Live)(アルバム『Noise & Flowers』より)

フジロック来日から22年、グリーンデイル公演からもう20年経つんですね。


25 山本 尚  トロント、カナダ  42歳

1. Banditos 『Right On』

過去2作品も悪くなかったが Banditos の『Right On』はよく聴いた。60−70年代のアルバムの雰囲気を醸し出すアルバムジャケットから受ける期待通りのサイケフォークからカントリー、ソウルなどのアメリカンルーツミュージックを現代人らしいアプローチで奏でる。シンガーの Mary Beth Richardson のソウルフルで力強い歌声も素晴らしい。

2. Josh Rouse 『Going Places』

Josh Rouse は常に大好きなシンガーソングライターの一人。大ヒットソングはないかもしれないが、駄曲を書かない過小評価されているシンガーだと常に思う。今作も安定の Josh。よく聴いた。

3. The Sadies 『Colder Streams』

最後はカナダの隠れた名バンドと言われていたが、Neko Case から Jayhawks、Jon Spencer などとの共演から公に知られるバンドとなった The Sadies の新作。最高です。

あとは Wilco の Yankee Hotel Foxtrot のデラックスボックス。アルバムがどのようなステップを通って完成したのかが聴こえてくる非常に楽しいボックスだった。おまけは Hank Williams のひ孫で、つまり Hank Williams III の息子が IV and The Strange Band としてリリースしたデビューアルバムも面白かった。


26 若松 隆  埼玉県

1. Neil Young & Crazy Horse 『World Record』

ニール・ヤングの新譜が昨年に引き続き今年も届けられ、そのパワーに感心しています。ニールヤングは他にも『ハーベスト(50周年記念ボックス)』、ライブ盤『Noise And Flowers』等など、一年を通して楽しませてくれました。

2. Horace Andy 『Midnight Rocker』

ホレス・アンディがまだ活動していたことに驚きました。そしてこの素晴らしい歌声、サウンドも最高でした。今年繰り返し聞いた一枚です。

3. Kazufumi Kodama & Undefined 『2 Years / 2 Years in Silence』

こだま和文とダブ・ユニットUndefined のフル・アルバム。アンビエント・ダブとでもいうべきサウンド。コロナ禍での2年間に作成されたということからも、「今」の雰囲気を感じさせる一枚でした。


27 渡辺 真也  神奈川県  68歳

* Bruce Langhorne 『The Hired Hand』

60年代に活躍した伝説のギタリスト。初めてこの人を知ったのは、Tom Rush Eric Andersen 等々のレコードクレジットに名前が載っていたことでした。それからずっと気になっていたギタリストです。上記のアルバムは Peter Honda 初監督のサントラです。YouTubeでも聴く事が出来るので宜しかったら聴いてみて下さい。


28 天辰 保文  千葉県  73歳

* Father John Misty 『Chloe And The Next 20th Century』(sub pop)

* Taji Mahal & Ry Cooder 『Get On Board』(nonesuch)

* Aaron Ratiere 『Single Wide Dreamer』(dinner time)

『Here It Is : A Tribute To Leonard Cohen』(blue note) 
 Kevin Morby 『This Is A Photograph』(dead ocean) 
 Leyla McCalla 『Breaking The Thermometer』(anti) 
 Neil Young With Crazy Horse 『World Record』(reprise) 

年齢やキャリアにかかわらず、ヴァイナルやCDやサブスクと入り乱れて聴いた1年。3枚に絞るのは難しかったけど、たぶんぼくの部屋でいちばん流れていたと思う3枚にしました。それでも、外すには忍びなく、何枚か追加して並べてみました。ずるいですね。もちろん、リトル・フィート(『Waiting For Columbus』)とニール・ヤング(『Harvest』)のBoxも、忘れられません。また、コンサートにも少しずつ足を運ぶようになり、ノラ・ジョーンズが素晴らしかった。ジョニ・ミッチェルのニューポート・フォーク・フェスでの復活のニュースと映像も嬉しかった。そんな1年でした。


コロナ騒ぎが落ち着いたかと思えばぶり返し、ロシアのウクライナ侵攻があり、身近なところに目を向けても光らしきものが見えない。うんざりして気力も萎え、それに加えて年齢のせいかアッというまに時間が過ぎ、何もしないうちに1年を過ごしたような気がして、我が身を責めた年末でした。今年はそうならないように、しっかりと踏ん張り、慌てず、焦らず、強く歩いて行かなければ、、。また1年後に、晴れ晴れしくお会いできますように。

2023年 1月 天辰保文