今年出会ったアルバム 「BEST 3」 * 2019年


1 赤谷 隆一  東京都  63歳

1. ザ・ウェイト・バンド 『ワールド・ゴーン・マッド』

前向きじゃない、まだこんな音楽やってんの、と言われてようとも聴いていて見ていて楽しいんだもの。ライブもアメリカンロック(の伝統)が伝わる久々の心温まるライブでした。フィートも全体ではないですが久しぶりに見れたことにポール・バレルに感謝、忘れませんあなたのギター。

2. ブルース・スプリングスティーン 『ウエスタン・スターズ』

ボスもやってくれましたね、アメリカン・スピリット。フォスターの曲を日本人の自分がなんでこの年齢でも覚えているのか、は、アメリカの(懐の)大きさ、だったのでしょうか。ケルティック俯瞰図もずっと待っていますよ。

3. 細野 晴臣 『Hochono House』

で、日本には細野さんがいるではないですか。今年のキーワードは1969年から50年だったのですか?こちらも幅広くポップスを束ねてあります。久々のカラオケ現場で「恋は桃色」を歌っておきました。

2020年はまずはオリンピックで、それ見て感動しちゃうこともあるのでしょうが、その宴の後の荒涼とした風景がどうしても思い浮かんで仕方ありません。 それが年寄りの心配性でありますように。来年も自分はまだ海外赴任帰国から日本暮らしでの違和感を持ちつつも、しがみついて生きていくので皆さんもどうぞお元気で。


2 伊東 潔  我孫子市  64歳

1. Chris Brown 『Indigo』

2. Shura 『forevher』

3. aiko 『aikoの詩。』

順位はありません。今年半ば、aikoさんのシングル・コレクション4枚組+スタジオライブDVD『aikoの詩。』で「aiko熱」になり(いまは平熱(笑))、来年、初めてaikoさんのライブに行くという有り様。2019年はワタシのaikoさんファン元年になりました。また、シュウラ、クリス・ブラウン、それぞれ、ヘビロテのアルバムでした。

ほかでは、竹内まりや(以下敬称略)『ターンテーブル』、Beck『Hyperspace』、Clairo『Immunity』、Ariana Grande『thank u, next』、Lawrence『Living Room』、柴田聡子『がんばれ!メロディ』、Easycome『Easycome』、Khalid『Free Spirit』、高野寛『City Folklore』、Various Artists『Joni 75: A Birthday Celebration』、Transit My Youth『Scrap And Build』など、よく聴いたアルバムです。


3 大浜 稔  三鷹市  62歳

1. Nils Lofgren 『Blue With Lou』

2. Melissa Etheridge 『The Medicine Show』

3. Robbie Robertson 『Sinematic』

昨年よりは買いましたが欲しいCDがあまりみつかりません。


4 川勝 敏弘  群馬県  60歳

1. Van Morrison 『Three Chords & The Truth』

2. Neil Young & Crazy Horse 『Colorado』

3. Marcos Valle 『Sempre』

よく聴いた3枚です。ここ数年毎年新作をリリースするヴァン・モリスンですが今回の新作は落ち着いた音作りで聴き込むほどよくなりました。ニール・ヤングは環境破壊問題に怒りの声を上げ作品にも反映してましたが新作は7年ぶりのクレイジー・ホースとの競演でニール・ヤングを聴き出した頃を思い出しました。個人的には最近のプロミス・オブ・リアルよりクレイジー・ホースとの方がしっくり来ます。マルコス・ヴァーリの新作センプリはAORというかシティ・ポップのような作品でよく聴きました。

他には今年はニューオリンズ関連の音源をよく聴きましたがそんなところにドクター・ジョンの訃報が飛び込んで来てその後リリースされたビッグ・バンド・ヴードゥーやザ・モージョー・オブ、ガンボのレシピなどで追悼しました。ジョージ・べンソンの新作ウォーキング・トゥ・ニューオリンズや5枚組のJAZZ FEST/ ニューオリンズ・ジャズ&ヘリテイジ・フェスティバルも印象に残ってます。元気な歌声を聴かせてくれたメイヴィス・ステイプルズ、現役感溢れるブッカーT、ロビー・ロバートソン、ブルース・コバーンなどが印象に残っています。

再発・未発表音源ではマーヴィン・ゲイのユア・ザ・マン、グレッグ・オールマンのレイド・バック、ザ・バンドの2枚目の50周年記念盤+ウッドストック出演時のライヴ&未発表音源、ブッカーT&MG’sのコンプリート・シングル集、フリートウッド・マックの3枚組のアンソロジー、プロコル・ハルムの1971年リリースの5枚目のブロークン・バリケーズのリマスター&エキスパンデッド・エディションの3枚組も購入。当時中学1年で友人が持ってて聴かせてもらって以来役48年ぶりに聴いて懐かしく思いました。


5 キーノ  東京都  61歳  http://green.ap.teacup.com/kino1958/

- 新譜編 -

1. John Paul White 『The Hurting Kind』

元 The Civil Wars の片割れのソロ。フォーク・ロックやカントリーに留まらず、Roy Orbison 的なゆったりとした音世界とそのバラエティな楽曲に惹かれる。幽玄な歌い口と生楽器を中心としたバックの組み合わせも良し。今の気分に合った一枚。

2. Van Morrison 『Three Chords & The Truth』

創作意欲に溢れ近年も多作のVanだが、カバーも多く枯れたかと思われたがこの新作は1曲のトラッドを除いて粒ぞろいのオリジナルで驚かされた。まだまだ歌える事に喜び!終曲がトラッドだが新たに詩を付け極上のVan節になっている。

3. Durand Jones & The Indications 『American Love Call』

ボーカルが黒人、バックが白人の組み合わせも最近では日常化している。ロンドンで観た彼らはソウル愛に溢れ、レトロなソウルを奏でていて衝撃だった。帰国して音盤買って楽しんでいる。今年の黒モノではピカ一。「Long Way Home」最高!

- 再発・発掘編 -

1. Van Morrison 『The Healing Game (Deluxe Edition)』

2. The Band 『The Band (Deluxe Edition)』

3. Pamela Polland 『Pamela Polland / Have You Heard The One About The Gas Station Attendant?』

1.は通常音源に未発表テイクとLIVE音源を加えた3枚組。デラックス盤の基本だが素晴らしい。この形で他のアルバムも出されたら癖になりそうです(笑)。2.はThe Bandの2ndに未発表テイクとウッドストック・フェスのLIVE音源を加えた2枚組。ウッドストックとブラウン・アルバムの50周年連動企画ってとこですか。3.は Jackson Browne の姉貴分、Orang County Sister パメラの幻の2ndと1stとそれぞれ1枚ずつの2枚組。2ndは英国録音ですがなかなか素敵です。初出なのに2ndには2曲のボートラまで付いている。


6 齋藤 皓太  千葉県  65歳

今年はベテラン勢が頑張った。スプリングスティーンは出来から言って文句ない。でも本当はニルソンの25年ぶりに出してもらえた新作に涙した方が上だ。一年を通して一番聴いたのは、やっと正規盤で出た『デヴィッドボウイ 1990 TOKYO』。エイドリアン・ブリューのギターが凄すぎるし、ボウイも負けていない。一生ものだ。

1. Bruce Springsteen 『Western Stars』

素晴らしい一枚だ。本当に丁寧に作っているし、気持ちよく唄っている。だけど本音ではもっと政治的・攻撃的なブルースを欲している。

2. Harry Nilsson 『Losst & Founnd』

郷愁的でも諧謔的でもない、優しい男の歌。一回のセッションと100本以上の残されたカセットから友人たちが25年かけて掘り起こしてくれた。

3. Peter Frampton Band 『All Blues』

手の神経の病で「サヨナラツアー」をしているフランプトンが最後にバリバリ弾いている。でもまだオリジナルのアルバムを待ちたい。

4. Neil Young & Crazy Horse 『コロラド』

正直もう声は出ない。それでも唄っておかなくてはいけない歌があるのだ。

5. Nils Lofgren 『Blue With Lou』

ルー・リードとの共作曲が多い。でも僕の好みはニルス単独のオリジナル曲。

6. Gurf Morlix 『Impossible Blue』

相変わらず渋く、楽器の使い方が素晴らしい。

7. Van Morrison 『Three Chords & The Truth』

凄い曲は入ってない。でもリラックスして聴ける好盤。

8. Buddy & Julie Miller 『Breakdown On 20th Ave. South 』

最高ではない。でも良い。ジュリーの遺言みたいに聞こえるアルバムだ。

今年最高の1曲は、ニールの「レインボー・オブ・カラーズ」。これこそが今唄われるべき曲だ。トランプはこれを聴いてどう思うのだろう。2番目はスプリングスティーンの「ゼア・ゴー・マイ・ミラクルズ」でした。


7 榊原 真久

少し前の作品ばかりになってしまいましたが、特に気に入った3枚です。

*Kacey Musgraves 『Golden Hour』

1st、2ndも結構気に入ってましたが、この3rdが1番惹き込まれました。ミックス、マスタリングが何とも言えず独特で、時間が経つとまた手に取ってしまいます。

*Watkins Family Hour 『Watkins Family Hour』

アイムウィズハーでは何故かサラ・ワトキンスだけ、きちんと聴いたこと無かったのですが、先にこれを浴びてしまってハードル上げてしまい、ちょっと後悔してます(笑)。欲を言えばフィオナ・アップルのVoをもう少し増やしてほしいなぁ。

*畠山美由紀 『歌で逢いましょう』

コッテコテの歌謡曲カバーなんで後回しでいいやと思ってたのを後悔しました。技量の高い演奏、歌で料理するとこんな凄いことになるんだなぁと感動しきりでした。


8 坂下 栄一  東京都   62歳

1. Sheryl Crow 『Threads』

五目うま煮ラーメンみたいでとても楽しめたアルバムでした、特に Chris Stapleton とのデュエット。

2. Vince Gill 『Okie』

聞いててとても心地よい、休日の朝に聞いていたい。Eagles に加入?来日してほしい人です。

3. Robbie Robertson 『Sinematic』

噛めば噛むほど味の出るスルメの様なアルバム、温故知新。


9 笹野 恒夫  神奈川県  65歳  http://cypressave.d.dooo.jp

* Joan Baez 『Whistle Down the Wind』 (2018 Proper)

* Gaby Moreno & Van Dyke Parks 『¡Spangled!』 (2019 Nonesuch)

* Neil Young & The Stray Gators『Tuscaloosa』 (2019 Reprise)

Gaby & Van Dyke は Disccover America の続編的趣き、バエズの歌声は感動的、オリジナル Stray Gators も素晴らしかったです。


10 柴田 廣次

1. Rex Orange County 『Pony』

マジで2020年代のランディ・ニューマン現る‼️

2. Brittany Howard 『Jaime』

熱いのにクールな歌と音が完璧に溶け合った、1.同様2020年代のハイブリット・ミュージック‼️

3. Neil Young 『ROXY: Tonight’s the Night Live』

この時代のニール・ヤングがメチャクチャ好きなので、涙もでないくらい感激した1枚‼️


11 Shimizu Nobumitsu

* Robbie Robertson 『Sinematic』

* Neil Young & Crazy Horse 『Colorado』

* Neil Young & The Stray Gators 『Tuscaloosa』


12 高橋 俊博  東京都  57歳

1. Tom Petty and the Heartbreakers 『The Best of Everything』 (2019)

トムが残した作品のうち19枚のアルバムから選ばれた曲にコラボ作と未発表曲をプラスしたベスト盤。レコード会社を移籍しながら常に最高の曲を作り続けた彼の軌跡を振り返るには恰好のアルバム。彼はデビューから最後までメジャーと契約し続けた稀有な存在。多くの人が彼の曲を求め続けレコード会社からも評価されてきた証である。19年末に遺族間の訴訟が終結したので、さらなる作品のリリースを願ってやまない。

2. Original Sound Track 『Echo in the Canyon』 (2019)

60年代半ばのロスの音楽シーンに焦点を当てた映画のサントラ。ザ・バース、バッファロー・スプリングフィールド等の曲を映像のプロデューサーを務めたジェイコブ・ディラン、さらにベック、フィオナ・アップル達が嬉々として演奏する様が音を通して伝わってくる。映画にはトム・ペティが登場し、リッケンバッカーを抱え「This is Folk-Rock special.」と言いながら弾きはじめるシーンが。その格好よさに心を掴まれた。日本での公開を願ってやまない。

3. Jeffrey Foskett 『Voices』 (2019)

11月にジェフリーが未分化甲状腺癌でステージ4の状態との記事が掲載された。そんな中に発表されたアルバム。どの曲も彼の声が美しく優しく響いてきた。特に最終曲「Adios」には心が震えた。得意のコーラスを排し自らの声だけで仕上げた想いは何だったのだろうか。グレン・キャンベル最後のアルバムのタイトル曲にも選ばれた「Adios」。グレンは旅立ってしまったがジェフリーは「さようなら」を言うには早い。回復を願ってやまない。


13 Tak.“SPIKE”  岡山県  57歳

* Joan Shelley 『Like The River Loves The Sea』

前作は Jeff Tweedy のプロデュースで、悪くはなかったのですが、よりシンプルなギターとヴォーカルの味わいが感じられる今作の方が好みでした。心が穏やかになる音楽です。

* Dee White 『Southern Gentleman』

Nonesuch 傘下で、Dan Auerbach が主宰する EASY EYE SOUND レーベルのアーティストのデビュー作。カントリー・ベースのサザンミュージックなんですかね… Alison Krauss もゲスト参加してました。同レーベルのYolaのアルバムも良かったです。

* Molly Tuttle 『When You’re Ready』

Tuttles with Aj Lee というバンド(というかユニット?)の作品で知ったアーティストの初ソロ・フルレングス・アルバムです。ギターが素晴らしい!ですが、ヴォーカルがまだまだ良くなりそうな気配です。


14 土橋 博雄  東京都  62歳

1. The Who 『Who』

2. Neil Young & Crazy Horse 『Colorado』

3. 佐野元春 『或る秋の日』


2019年は前年に引き続き、というかパワーアップした禍事に見舞われ、春先に緊急手術で一命を取り止める事態にまで至りました。夏以降、徐々に日常生活に復帰していますが、かくなる上にはもう人生を楽しむしかない訳で、本を貪り読み、音楽・映画にどっぷり浸った生活を送るように努めています。

そんななか、The Who の新譜は胸に沁みました。静かにしかし深く怒っている様がやたらカッコいい。そのピートにしても、久々にクレイジー・ホースを召集したニール・ヤングにしても、ああいう筋の通った頑固爺さんたちに心底憧れますね。あと、ほぼ同世代の元春さんの新譜は、短編集のようなそして映画のような味わいが大好きです。


15 NOAH  東京都台東区浅草

今年は狛江FMの新しい番組が始まりました。こちらで紹介されるいろんな皆さんのベスト3をラジオから流したいです。楽しみだ。

- 洋楽 -

* Robbie Robertson 『Sinematic』

丸山京子さんの訳詞が泣かせます。

* Ronnie Wood with His Wild Five 『Mad Lad』

これぞ R&R!Ronnie やってくれました。

* Sheryl Crow 『Threads』

- 日本 -

* PJ 『Peace Joint』

これぞ、元祖ジャパンレゲエ、ヘビーに聞いてます。

* 佐野元春 『或る秋の日』

元春は人生の秋か?イヤイヤまだ真夏だな。

* 細野晴臣 『Hochono House』

新しくも懐かしい、ずっと繰り返し聞いていたい 50年。


16 芳賀 幸友  東京都  53歳

今年は特に邦楽において新しい出会いがたくさんあった年でした。僕は年間Best3に旧譜のリイシューやリマスターは入れないマイルールを設けてます(笑)、それに基づくと、邦楽はどうしても3枚に絞れず、逆に洋楽は2枚だけ。極端ですがこれが僕にとっての2019年だったかな…。

- 邦楽編 -

1. ミーワムーラ 『Solitude』

福島県いわき市に住み、普段は大工の師匠と弟子という関係で音楽活動を続けている男女二人組のユニットの新譜。恐らくご覧の皆さんの殆どがご存知ないと思いますが、村重光敏さんの素晴らしいギターと菅原ミワさんの声には、聞く者の心を深い所で動かす何かがあります。音楽仲間に勧められ、今年初めてライブを観たのですが、ある曲で思わず涙…。全く知らないミュージシャンのライブで泣いたのは初めての体験で、自分で自分にびっくりしました。それほどに凄いんです、この人たちは!ミュージシャンからの評価も高く、TOSHI-LOWや七尾旅人も驚嘆したという話。ミワさんの詩と村重さんのギターが織りなす映画のような世界を是非多くの方に聞いていただきたい!

2. Heatwave 『Blink』

今年結成40周年を迎えたHeatwave。2年前にメンバーが抜け、ベースレスになったのですが、あえて代わりは入れず、G&Voの山口洋とKeyの細海魚、Drの池畑潤二の3人で活動を続けています。ライブではベースの不在を全く感じさせない鉄壁のバンドアンサンブルが素晴らしく、暮れに三井ホールで行われた40周年記念ライブでは、終演後、楽器が下げられアンプの電源が落とされても観客の拍手が止まず、山口洋が再々度ステージに登場するという出来事も。バンドとファンとの美しい関係性に感動しました。 このアルバムは、そんな彼らの最新作。「Blink」とは“まばたき”という意味。40年はまばたきの如く一瞬だったってことでしょうか?そう言い切れるバンドの歩みが素晴らしいと思います。

3. Grapevine 『All The Light』

恐らく、今年前半一番多く聴いたアルバム。90年代から活動しているバンドですが、今年初めてライブを観て、その巧さに驚嘆しました。最近のバンドはフェスを意識した、四つ打ちの“盛り上がれるリズム”を叩くバンドが多いのですが、それだけだと飽きてしまいますよね。バインはリズムパターンが複雑で、その上に個々のプレイヤーが卓越した音を重ね、凝った音響で聴かせます。田中和将のボーカリストとしての力量も再認識。文学的な詩も素晴らしく、今の日本のロック界では孤高の存在になっていると思います。『All The Light』、全部いい曲ですが、あえて言えば「すべてのありふれた光」。日本のロックには珍しい父性を感じる楽曲です。

4. 細野晴臣 『Hochono House』

このアルバムは、きっと他の方も取り上げると思いますので簡潔に(笑)。楽曲の良さは言わずもがなですが、完全に別モノのテクノ・カントリーにした細野さんのセンスに脱帽です。本人もいろんな所で言ってますが、このアルバムで聴くべきは「音の響き」。細野さんは「音楽家」であると共に、日本屈指の「音響家」であるとあらためて確信しました。

5. Ego-Wrappin’ 『Dream Baby Dream』

Ego-Wrappin’ をデビュー時のスカと昭和歌謡の合体的なイメージで捉えている人にこそ聴いて欲しいアルバム。多彩なサウンドとさりげなく反戦のメッセージを籠めた楽曲が素晴らしい。今年はライブを三回見ましたが、どの夜も印象が違っていました。それだけ引き出しの多いバンドなんです。今のようなレコード・ブームになる前から、アルバムを毎回アナログでリリースしてくれるのもいい。

- 洋楽編 -

1. ロビー・ロバートソン 『Sinematic』

ロビーにザ・バンドの面影を求める人には、今のロビーの音楽はピンとこないかもしれません。でも、この人はソロになって「音楽」と同時に「音」を作り続けているように思います。そういう意味では、細野さんに通じる「音響家」。新譜もダニエル・ラノワを彷彿とさせる凝った音像の曲ばかり。大きな音で聴いても、寝室で小さな音で聴いても「場」を作れる力のある音楽です。

2. イギー・ポップ 『Free』

ボーカリストとしてのイギーの魅力が再認識できる傑作だと思います。これも音響に凝ったアルバム。プレイヤーも腕利き揃いで、特にギタリストのサラ・リップステイトはかなり気になる存在。MV見るとかなりの美貌だし(笑)。


17 百間  新潟県  42歳  https://twitter.com/hyakuken

1. ClariS 『SUMMER TRACKS-夏のうた』

2. 水瀬いのり 『Catch the Rainbow』

3. 亜咲花 『Heart Touch』

以下次点(順不同)Bruce Springsteen『Western Stars』、Youssou’ N’Dour『History』、Idan Raichel『And If You Will Come To Me』、Tiken Jah Fakoly『Le Monde Est Chaud』、THA BLUE HERB『THA BLUE HERB』、TrySail『TryAgain』、三月のパンタシア『ガールズブルー・ハッピーサッド』、堀江由衣『文学少女の歌集』、アイカツ!シリーズオーケストラコンサート『オケカツ!』、Tokyo 7th シスターズ Live CD『t7s 4th Anniversary Live-FES!! AND YOUR LIGHT-in Makuhari Messe』

1は女性2人組による「夏」をテーマにした2ndミニアルバム。昭和・平成に生まれた作品に命吹き込む瑞々しいカバー4曲、そして涼やかな余韻さらうラストナンバー、令和に生まれたばかりの激情渦巻く新曲が響き合う歌世界は、痛ましい事件に立ちすくみ、素晴らしいLIVEに心震わせた、忘れがたい2019,SUMMERにくさび打ち込む衝撃で心震えました。

2は平成31年想い出の作品、女性声優の3rdアルバム。清々しくも可憐で凛々しい歌声からはメインヒロインからヒール・脇役まで、キャストとして数多のアニメ作品担い、イロドリ溢れる声で彼女が魂の灯り点したキャラクターたちからの熱いエールが宿ったような「厚み」を感じ、先行き不安な新たな時代へと踏み出す勇気が湧きました。

3は令和元年想い出の作品、「亜細亜に咲く花」と自ら名乗り上げた女性アニソンシンガーの10代集大成となる1stアルバム。大きく出たなぁと先ず心意気が嬉しくなり、その名を口にするに足りる、大地から芽吹くような力強い歌声に新時代の鼓動感じ、そしてアニメ作品の「顔」たる主題歌担い、物語に寄り添う誠実さに惹かれました。

2019年の音楽生活も昨年に続き多くの素晴らしいALBUMやSONG、LIVE、コンテンツ、音楽家との出会いに恵まれました。また、令和迎えるにあたり平成31年間の音楽体験を振り返ったり、転居で視聴環境含めた生活が変わったり、京都アニメーション放火事件後改めて「音楽との向き合い方」に想い巡らせたり、定額制音楽サービスを始めて「音楽の聴き方」の再構築に取り組んだりと節目の多い一年でもありました。2020年も心震える音楽との出会いを信じ、一日一日を大切に過ごします。


18 福田 秀貴  東京都  51歳

* Rhiannon Giddens 『There Is No Other』

聞く程に良くなっていき、来日も決まって今年最も聞いたアルバムです。

* Bob Dylan 『The Rolling Thunder Revue: The 1975 Live Recordings』

枚数も多かったのですが、映像と共に楽しめました。

* Van Morrison 『Three Chords & The Truth』

毎年のように新譜を出してくれていますが、ここ数年では最も気に入っています。


19 真紀  東京都

1. 大滝詠一 『NIAGARA CONCERT ’83』

発売予告から、首を長~くして待ってました!なかでも、DVDがとても嬉しかったです。シリア・ポールさんとの「The Very Thought Of You」シリアさん、可愛すぎです。

2. Nick Lowe 『Love Starvation』

私のBest3では、おなじみの Nick Lowe です(笑)。彼の渋さ、カッコ良さは、ずっと変わらないですね。「Trombone」にグッときました。Los Straitjackets との来日、実現してほしいです。

3. The Weight Band 『World Gone Mad』

来日のニュースまで、全く彼らを知りませんでした。「なんて素敵なバンド名なのでしょう~!」と興味を持ち、このアルバムを聴いてみたところ想像以上に素晴らしくて。 The Bandへの愛がいっぱいなところ、たまりません。


20 増田 和彦

1. Bruce Springsteen 『Western Stars』

スプリングスティーン自身の人生を総括するような、深く、味わい深いアルバム。後から出たライブ版はより良かった。

2. Brittany Howard 『Jaime』

スプリングスティーンのトリビュート盤で「Adam Raised a Cain」の素晴らしい演奏をしていてアラバマシェイクスを知りました。ジャンルを超えた幅広い音楽性に驚き。

3. Sheryl Crow 『Threads』

豪華ゲスト陣に力強い楽曲群、もっと話題になっていい作品と思います。

- 番外編 -

Bruce Springsteen のオフィシャル配信ライブ、最も好きなライブが3枚出ました!いずれも Darkness tour、たまりません!
Sep.19 1978 Capitol Theater Passaic N.J. / Dec.15 1978 Winterland San Francisco / Dec.16 1979 Winterland San Francisco


21 松井 慎一  神奈川県  64歳

1. Gaby Moreno & Van Dyke Parks 『¡Spangled!』

存在すら知らなかったグアテマラ出身の女性歌手が届けてくれるスペイン語やポルトガル語の「響き」に、Van Dyke Parksの「あの」アレンジとストリングスが絡み合い、「この手があったのか!」という嬉しい驚きと共に、繰り返し聴いた一枚でした。気が付くと、サンバやボサノバ以外は興味すら無かったラテン音楽の世界へ少しだけ踏み込みました。 Fania All Starsの「Live At The Cheetah」やRuben Blades/Willie Colonの「Siembra」等々、知らなかった世界が広がり始めています。

2. Will Beeley 『Highways & Heart Attacks』

70年代後半、週3~4回ペースで通い詰めていた渋谷の「独特な雰囲気の空間」に似合いそうな一枚。Guy Clark等のSSW、SteeleyeやSandy Denny、Frankie Armstrong等の英国勢を記憶の中から掘り起こし、往時の渋谷の街並みを思い出しながら聴いています。蛇足ながら、百軒店の「カレー」と「もやし麺」が食べたくなる、という摩訶不思議な効用も。

3. Merle Haggard 『The Lonesome Fugitive:The Merle Haggard Anthology(1963-1977)』

昔からGrateful Deadの「Mama Tried」が好きでしたが、その作者の代表曲集。半世紀近く前の楽曲達ですが、今聴いても全く違和感なく楽しめ、感心するばかりです。

その他、James Taylorの『The Warner Bros. Albums 1970-1976』、Reggie Youngの『Session Guitar Star』、Jimmie Rodgers他『The Bristol Sessions: The Big Bang Of Country Music 1927-1928』という作品がお気に入りでした。 最後に、今年もリンカーン・ライムの謎解きに付き合え、思いがけず、合田雄一郎や新宿鮫まで還って来てくれたのがなによりでした。


22 松波 宗義  八王子市  74歳

1. Jonah Tolchin 『Fires For The Cold』 (2019)

2. Sly Boots 『Notes On A Journey』 (1969)

3. Churchill 『Same』 (1970)

2019年の前半は Dan Penn & Spooner Oldham 来日公演、後半は東京 Bob Dylan に Little Cheat と常々行きたい思っていたライブに行けて良かったです。

年間BEST3ですが、BEST1はあきる野に在る Cafe ToRamona のオーナーさんに教えて貰った米国ルーツ系の若手SSW、BEST2は新宿ユニオンでやっと巡り合った全く無名の米国フォークロックグループ、BEST3はヤフオクでSwampと言う紹介があったのでネットで調べたら何と Dan Penn、Spooner Oldham 参加のアルバムで、内容はCCR的で好物でした!


23. Mayumi Abe  東京都  https://youtu.be/DhCVmF97TWc

* Tom Petty and the Heartbreakers 『The Best of Everything』

昨年もあまりアルバムは購入しませんでした。『The Best of Everything』を含めて3枚くらいでしょうか。とはいえ、とても音楽的な一年となりました。「トム・ペティ・トリビュート」でクリスマスソングを演奏する企画に挑戦、楽器の経験がほぼない自分が演奏する側になって、また違った楽しみがありました。YouTube(上記リンク)でお聞きいただけますのでよろしければ。


24 水口 正裕  神奈川  64歳

1. Davina and The Vagabonds 『Sugar Drops』

2. Broadway Original Cast Recording 『David Byrne’s American Utopia』

3. 東京スカパラダイスオーケストラ 『ツギハギカラフル』

よく聴いた盤、ということで選ぼうとしたら、昨年同様女性シンガーばかりになるのに気づいて、急遽それ以外から2枚選びました。1.は、その女性シンガーものの1枚。楽しくてシャレてるヤツをピックアップ。2.は10月にブロードウェイで観たショウのライヴ盤。振付も面白いので映像で観たいところですが、音だけでも素晴らしい。3.はデビュー30周年を記念しての、歌ものとインストの新作2枚組。実は追っかけです(笑)。

実質Best1の Gaby Moreno & Van Dyke Parks『¡Spangled!』は、昨年のこのコーナーの文中で先行シングル「The Immigrants」に触れたので除外しました。


25 MOTO(斉藤元博)  西東京市  53歳

2019年は、あらたな目標を見つけながら体調、特にメンタル面に積年のダメージが…。そんな中でも音楽と映画に救われた一年でした。

1. Gaby Moreno & Van Dyke Parks 『¡Spangled!』

ライの「Across The Borderline」をジャクソン・ブラウンとデュエットでカバーしていたMVを見つけてアルバム発売を楽しみにしていた。こんなにワクワクした気持ちで新作を心待ちにすることも久しぶりだった。カバーアートの素晴らしさ、もちろん音は完璧。これまで聴いてきたアメリカの音楽の背景を知っているからこそ楽しめる、そんな風に作品と対峙できる今を大切にしたい。そして、ヴァン・ダイク・パークスのオーケストレーションが胸のすくようなダイナミズムで響くアナログ盤で聴くのをオススメしたい。

2. Original Soundtrack 『Green Book』

こんな風に自分に正直に生きることができたら。黒人と白人の主人公のどちらにもシンパシーを感じた。そして、鑑賞後の後味の良さ。 音楽は、映画のモデルとなった黒人ピアニスト、ドン・シャーリーの実際の演奏とスコアを担当した売れっ子、クリス・バワーズの作品を 絶妙のバランスで収録。アメリカの田舎道を車で旅しながら、のどかな風景と二人のコミカルなやり取りのバックに流れるクリスの作曲したアメリカ南部の匂いのするサウンドに心が和む。今年前半にもっともターンテーブルに載せた1枚。

3. Tish Hinojosa 『Homeland』

渡韓した時に覗いた乾物市場の片隅でやっていたフリマで手に取ったが店主不在で購入できず後悔しきり… 帰国してCDを買い求めた。カーノの音楽が密かなマイブームだった2019年を象徴する1枚。「Let Me Remember」での愛らしさと懐かしさはオールタイムベスト入り。


26 森 陽馬  東京都  45歳

* Jimmy Webb 『Slip Cover』

名ソングライター、ジミー・ウェッブによるピアノ・インスト・カヴァー・アルバム。 ラスト「Old Friends」(サイモン&ガーファンクル)他、美しくも切ないピアノの旋律が沁みます。2019年最も繰り返し聴いた1枚。

* 松永希 『声』

2012年逝去した松永孝義(B)の妻であり、小笠原古謡の歌い手でもある松永希。瞳の奥に潜む哀しさと優しさが声を伝って感じとれる魂宿った歌。胸を打ちます。

* KEEPON 『真夜中ボーイ』

<令和のナイアガラ・ムーン!?><KEEPON流チャンンキー・サウンド> 2003年生まれ16歳のKEEPON(キーポン)が作詞、作曲、編曲、演奏、歌、ミックス等を1人で手掛け令和元年に放った入魂作。 大滝詠一/細野晴臣真の後継者か!?


27 YOKO  東京都

* Sandy 『フラダブ』

* U2 『One』

* Inaho 『みのるかな』


28 良知 範一  静岡市  63歳

* Steve Postell 『Walking Through These Blues』

他の参加メンバーの名前から買ったが、すごく良かった。70年代のウエストコーストサウンドを彷彿させるグッドミュージック。知らないですみませんでした、という感じ。

* The Weight Band 『World Gone Mad』

ザ・バンドを敬愛する心優しき音楽、懐かしさや楽しさが伝わります。

* The Highwomen 『Highwomen』

カントリー系の女性4人のスーパーグループ。楽曲もいい、ハーモニーも抜群。

番外編として James Taylor の初期ワーナー時代のリマスター。やっぱり James Taylor はこの頃一番よく聞いた。今聞いても全く古さを感じない。


29 若松 隆  埼玉県戸田市

1. Kodama And The Dub Station Band 『かすかなきぼう』

2. Neil Young & Crazy Horse 『Colorado』

3. Bob Dylan 『The Rolling Thunder Revue: The 1975 Live Recordings (14CD BOX)』

今年よく聞いた3枚。Kodama And The Dub Station Band はライブを重ねて今年アルバムを出してくれた。ダブバンドだが、先入観なしに聞いて欲しい。ニール・ヤングとボブ・ディランはアーカイヴシリーズ、ブートレッグシリーズと底なし沼のようである。


30 天辰 保文  千葉県  70歳

* The Black Keys 『Let’s Rock』(Nonesuch)

* North Mississippi Allstars 『Up And Rolling』(New West)

* Jonah Tolchin 『Fires For The Cold』(Yep Roc)

昨年1年を通じて車の中で頻繁に流れ続けたのは、ブラック・キーズ、ノース・ミシシッピ・オールスターズの2枚だったかと思います。いずれも、ブルース、ロックが爽快でした。その他、印象に残ったのは、Gaby Moreno & Van Dyke Parks、Bruce Springsteen、Rachael & Vilray、Robbie Robertsonといったあたりでしょうか。

ニュージャージーのシンガー・ソングライター、ジョナー・トルチンの新作は、 米国の詩人メアリー・オリバーの著作の中の一節からとった『Fires For The Cold』というタイトルだけで惹かれた1枚でしたが、ジャクソン・ブラウンやリッキー・リー・ジョーンズと一緒にローウェル・ジョージの「Roll Um Easy」を歌っていたりするという理由からだけでなくよく聴きました。


70才という、自分でも信じられない年齢になったことも含めて、個人的にいろんなことを考えさせられた年でもありました。ここでのブログもすっかり怠り、なんだかなあ、と呟く瞬間が多くなるばかりでしたが、それでも、ジョー・ヘンリーの言葉じゃないけれど、まだまだ言いたいことがあるのか、自らに問いかけ、一日一日を重ねてきた気がします。そう言えば、ここでは選びませんでしたが、ジョー・ヘンリーの『The Gospel According To Water』も、忘れられない1枚になりそうです。ともあれ、参加してくださった皆さん、ありがとうございました。1年後に、またここでお会いしましょう!!!

2020年 1月 天辰保文