今年出会ったアルバム 「BEST 3」 * 2020年


1 赤谷 隆一  東京都  64歳

1. 『クロスロード・ギター・フェスティヴァル 2019』(DVD)

2007年開催のDVDをインドから初めてここに投稿させていただいてから2回目の選択ですが、昨年のライブ/フェスの欠落状況をを埋めるもの。出演者も観客も皆楽しそう。クラプトンはその年5月のロンドンでもやっていましたが、プリンスの「パープル・レイン」が意外にハマっていていいですよ。

2. プリンス 『サイン・オブ・ザ・タイムズ:スーパー・デラックス・エディション』

そのプリンスの一番好きなアルバムの再発豪華盤です。エルトン・ジョンもBoxを出したりでお金にも困りましたが、未発表曲の「コミック・デイ」の空を駆けるようなギターソロが素晴らしすぎます。クラプトンの想いも分かるような気が…。

3. 大貫妙子&小松亮太『Tint』

今頃なんだ、と言われそうですが、インド赴任中で聴けなかったものをようやく聴けました。2020年の状況に一つの光を投げかけてくれたその佇まいに、感謝します。

2020年は人類史としては負の意味で記録され続けるでしょうが、生きていく上での幸せってなんだ、を自分にとっては強く問われた年でありました。2021年は出来るだけ背筋を伸ばして生きていきます。皆さんどうぞ変わらず、お元気で!


2 大浜 稔  三鷹市  63歳

* Bruce Springsteen『Letter To You』

* Steve Forbert『Early Morning Rain』

* 大塚まさじ『ゾウさんのうた Live at 一会庵』

今年はなぜか昔のELOや泉谷の歌が頭に流れ、新譜以上に聴いていました。


3 川勝 敏弘  群馬県  62歳

1. James Taylor 『American Standard』

2. Dan Penn『Living On Mercy』

3. Bettye Lavette 『Blackbirds』

よく聴いた3枚です。今年はなんと言っても2月にリリースされたジェームス・テイラーのアメリカン・スタンダードを毎朝よく聴きました。全曲スタンダードのカヴァーですが楽曲の良さを残しつつジェームス・テイラーの世界にしてしまうあたりはさ流石。

ダン・ペンは1973年の1枚目のノーバディー・フール、94年の2枚目のドゥ・ライト・マン以来26年ぶりの正式なスタジオ・アルバム。ドゥ・ライト・マンは彼が楽曲提供したセルフ・カヴァー集で自宅でプライヴェート録音したものが2000年から2017年までに4枚リリースされオリジナル楽曲の正式アルバムとしては1枚目以来なんと47年ぶりの作品となりました。ほのぼのとした歌い方が特徴的ですが今回の新作はいい意味で力の抜けたとても滲みるアルバムに仕上がりました。

ベティ・ラヴェット1962年にマイナー・レーベルからシングルをリリース、70年代はメジャー・レーベルからのリリースしたもののシングルのみでアルバムは1982年でモータウンからでした。彼女の音楽を聴くようになったのは2000年代からで新作が出るたびに購入してました。今回の新作のタイトルはビートルズのブラックバーズは黒人差別に対する歌で他にはビリー・ホリディの奇妙な果実、ニーナ・シモン、ダイナ・ワシントンなどの黒人女性シンガーをカヴァーしてます。静かに歌い上げる歌声は魂の叫びのように聴こえます。

それ以外にはディランもよく聴きましたし、コンピものはダン・ペンとスプーナー・オールダムVol.2、フェイム1964-68、再発ものではグレイトフル・デッドのワーキングマンズ・デッド、アメリカン・ビューティの1970年の2枚、ストーンズの山羊の頭のスープ、11月にはクリス・スミザー、12月にはジェシ・コリン・ヤングの新作が届き元気な歌声が聴けてホッとしました。ボックスものはフォーカス、ジェリー・ジェフ・ウォーカー、ステイプル・シンガーズも個人的には嬉しいリリースでした。


4 キーノ  東京都  62歳  http://green.ap.teacup.com/kino1958/

- 新譜編 -

1. The Secret Sisters『Saturn Return』

前作で The Everly Brothers の域に達したと思ったが、この新作もまた素晴らしい。彼女のファンを自認する Brandi Carlile が、自分のスタジオを提供してプロデュースまでする大プッシュ。それに応えるかの様に姉妹で良い曲書いてます。1月のグラスゴーで観れる予定だったのに、病気名目でドタキャンは辛かった(涙)。

2. Jason Isbell And The 400 Unit『Reunions』

プロデューサー Dave Cobb との名タッグで Jason の快進撃は止まらない。今や John Hiatt を抜いて、ワタシの中では最も信頼すべきロック系SSWです。ミディアム・テンポの曲もスローな曲も何ともワタシ好み。期待を裏切らない奴だ。1月に夫人の Amanda Shires と来日したが、かって観たバンド・サウンドは更に良い。The 400 Unit との再来日を願うばかりだ。

3. High South『Peace, Love & Harmony』

ナッシュヴィル産の West Coast Sound を奏でる三人組。その音からは Eagles や CSN、アメリカなんかを思い出させる気持ち良さ。製作スタッフやカバー写真を含めて美味しい所取り、悪く言えばパチもんか(笑)。それでも彼らの本気度に嘘はない。Eagles の『Live From The Forum MMXVIII』は聴かないが、こいつらは断固支持します。

- 再発・発掘編 -

1. Valerie Carter with Yoshiyuki Sahashi『Live In Tokyo 1994』

2. Dave Alvin『From An Old Guitar : Rare And Unreleased Recordings』

3. Paul Carrack『Live 2000-2020 The Independent Years』

1.は奇跡の発掘音源!ワタシも当日会場におりました。愛情溢れるブックレットも国内盤の良さを感じるものです。2.は過去のスタジオ・セッションやトリビュート盤等へ収録した音源をコンパイル。自作は少ないが、古いながらも鳴りの良いギターの音がどこからも聴こえてくる。亡き Chris Gaffney の演奏を収録したのは友情の証。3.は自主レーベルを発足した2000年からの20年間のLIVEを5枚のCDにコンパイル。好きなようにリリースを続ける為に Eric Clapton のツアー鍵盤奏者で小金を貯め込んでいるとさえ思ってます。沢山所有している過去作がいらないと思える程のボリュームと濃密さで満腹です。


5 齋藤 皓太  千葉県  66歳

酷い一年は気持ちも上がらず、音楽に触れることも減ってしまった。来年こそいい音楽を聴き、いい演奏をしたいと思います。

1. Bruce Springsteen『Letter To You』

圧倒的に心に響いた。ボスも僕もそういう年齢なのだ。

2. Nils Lofgren Band『Weathered』

ニルスのライブに外れはない。今回の新味はボスのバックでも歌っていた女性歌手の起用。

3. Dan Penn『Living On Mercy』

26年ぶりのスタジオ録音?結構コンスタントに出していたように思っていたけど。良い曲が多すぎて、これっていう曲を上げられない。


6 坂下 栄一  東京都江戸川区   63歳

1. Neil Young 『The Times』

爆音ギターも良いけどやはりこんなのが聴きたい、思わずアコギに手が伸びます。

2. Suzanne Vega 『An Evening Of New York Songs And Stories』

とても思い入れが強い人の新譜。Luka、Tom’s Diner、なんと Walk On The Wild Side まで、NYの香りがプンプンします。

3. Tom Petty『Wildflowers & All The Rest』

いつでもどこでも聴いていた Crowling Back to You、聴くたびに泣けてきました。


7 笹野 恒夫  神奈川県  66歳  http://cypressave.d.dooo.jp

* Dan Penn 『Living On Mercy』 (2020)

* Bruce Springsteen 『Letter To You』 (2020)

* Tom Petty 『Wildflowers & All The Rest』 (2020)

もう一枚、Neil Young 『Homegrown』も同格で。


8 清水 伸充

* 中島みゆき 『CONTRALTO』

* Bob Dylan 『Rough And Rowdy Ways』

* Neil Young 『The Times』


9 高橋 俊博  東京都  58歳

* Tom Petty 『Wildflowers & All The Rest』

1994年発表の『Wildflowers』の拡大盤。数年前からリリースの噂があり楽しみに待っていましたが、その間に本人の突然の逝去、遺族間の財産争いなどでお蔵入り状態が続きました。ようやく彼の70歳の誕生日近くに発売。オリジナル盤のリマスター、アウトテイク、ホームデモ、ライヴなどを詰め込んだ、ファンには宝箱のようなコンピレーション。コロナ禍の本国では大きな話題となり売り上げも好調でしたが、日本では国内盤の発売どころか、音楽関連のメディアで取り上げられることがほとんどなかったのは寂しかったです。Tom Petty の人気の低さをあらためて実感しました。

* The Dirty Knobs 『Wreckless Abandon』

Tom Petty の長年の音楽パートナー Mike Campbell が率いるバンドの初作品。彼以外の3人のメンバーもロスでは有名なミュージシャンなので演奏は完璧。TP&HBの音に、よりハードなギターサウンドを加えた Mike の魅力たっぷりの1枚でした。もっと多くの人の耳に届いて欲しいアルバムです。

* Chris Stapleton 『Starting Over』

4枚目のアルバム。大きな話題となった5年前のデビュー作『Traveller』に劣らない作品だと思います。美しいメロディーと極限まで無駄を削った歌詞を持つ曲が、彼のアノ声で歌われることで、より輝きを増しています。個人的には Jason Isbell と Chris Stapleton が現在のアメリカーナのシンガーソングライターの中で双璧をなす存在だと思っています。


10 Tak.“SPIKE”  岡山県  58歳

今年はCOVID-19流行のため、多くのアーティストが自宅で演奏したり、リモートで共演した演奏をYouTubeで公開してくれたおかげで、今まで全く知らなかった人たちを数多く知ることができましたし、お気に入りのアーティストのリラックスした雰囲気を感じることもできました。特にみなさん、オリジナル曲よりカヴァー曲をアップされてることが多かった気がして、今年のBest 3の内の2枚はカヴァーアルバムです。

1. Molly Tuttle『…But I’d Rather Be With You』

昨年ソロ・デビューアルバムを選んだ Molly Tuttle のカヴァーアルバムですが、選曲がヴァラエティーに富んでおり、様々なヴォーカルスタイルで歌いこなせることを思い知りました。このレコードを聴かなければ、Harry
Styles なんて一生聴くことはなかったと思います。

2. Kate Rusby『Hand Me Down』

こちらもカヴァーアルバムですが、日本の大手通販サイトではしばらく新作の取り扱いがなかったので、久々に簡単にCDを購入できてありがたかったです。ジャケットのイラストもカワイイので、ぜひとも1枚手元に置いておきたくなると思いますよ…女の子なら、ですが。

3. Watkins Family Hour『Brother Sister』

今年はごひいきの”I’m With Her”のメンバーが3人とも新譜を出したのですが、私的にはコレが一押しですね。1st.とちがってゲストがほとんどいませんが、兄妹のハーモニーが素晴らしい!Warren Zevon のカヴァーも良かったです。

次点は、Dawes と Mandy Moore のカップルと The Jayhawks の新譜ですかね。来年は何とかLIVEがナマで見られるようになって欲しいものですが…まだ無理かなあ…。


11 立見伸一郎  東京都

* ボブ・ディラン 『日本のシングル集』 SICP-31361-2

* ボブ・ディラン 『ラフ&ロウディ・ウェイズ』 SICP-6341

* ボブ・ディラン 『ベスト・オブ・ブートレッグ』 配信のみ

2020年は何と言っても、『日本のシングル集』で天辰さんが書かれた日本盤解説ライナーノートの末席にわたくしも駄文を書かせていただきました事、一生の記念となりました。改めて感謝申し上げます。と共に2021年が安心して過ごせる年になりますよう心より祈念致します。


12 田中 一也  京都府  53歳

1. Ben Watt 『Storm Damage』

Bernard Butler 参加の下、傑作を2作続けてモノにしてきた Ben Watt。この作品に Butler のクレジットはありませんが、その2作品に勝るとも劣らない傑作を届けてくれました。このアルバムリリース後、4月に予定されていた来日公演は、僕の2020年のハイライトとなる予定でした。

2. Deacon Blue 『City Of Love』

快調に新作を発表し続けてくれている Deacon Blue。今作も熱く素晴らしいメロディーがいっぱいです。このバンドのヒューマンな感じがいつもよりも、ありがたく感じる1年でした。

3. James Taylor 『American Standard』

聴く前はオリジナルアルバムが良かったな、なんて思っておりましが、内容は凡百のスタンダードアルバムとは全く違う完全なJTミュージックでした。前年の年末に父が急逝し、色々な後始末の慌ただしさ、虚無感、そして、コロナ禍の人々の苛立ち、を感じる日々でしたが、そんな中にあってこのアルバムは何度も心落ち着かせてくれました。

ライブは2月に RONIN の素晴らしい来日公演を体験でき、本当に幸運でした。そのライブが最後に観たライブとなり現在に至ります。2020年も沢山の素晴らしい新作、発掘作、に出会うことができました。この3作以外にも同じくらい愛着のあるものがまだまだあります。大好きなミュージシャン達に感謝です。


13 土橋 博雄  東京都  63歳

春以降配信ばかりの日々でしたが、夏以降満を持して(おそらくはアーティスト・主催者サイドが血の滲むような苦労とリスクを負いつつ)徐々に再開されたライヴには、出来る限り足を運びましたが(以下敬称略にて: 山下洋輔、鈴木茂、浜田真理子、marino、小泉今日子、スガシカオ、佐野元春)、すべてが落涙する素晴らしさで、やはり生演奏はミラクルだよなぁ!と痛感する今日この頃です。いつか生演奏を存分に楽しめる日が来ることを願ってやみません。

2020年の Best3は「女帝おっしゃられるところのステイホーム (失笑) 」の日々ひたすら音楽浸りだったため、3つに絞れませんでした。多くの方が選ばれるであろう問答無用の Dylan と Springsteen。オールドファンにとっては正式リリース自体がもはや事件であった Neil Young の『Homegrown』。限りなく美しい Tame Impala の新譜。配信・メールや感動の生演奏を通じていつも励まして頂いた浜田真理子さん(+BLACKWAX from 宮古島の marinoさん=marimari)珠玉のライヴ盤。そして、その marinoさんから教わって、音楽の新しい流れにまるで鈍感な僕がすっかりハマってしまった Khruangbin(クルアンビン)の新譜。

…という訳で、倍の Best 6(リリース順、多分)となってしまいました。

1. 浜田真理子 『LIVE 2017・2019 vol.2』

2. Tame Impala 『The Slow Rush』

3. Neil Young 『Homegrown』

4. Bob Dylan 『Rough And Rowdy Ways』

5. Khruangbin 『Mordechai』

6. Bruce Springsteen 『Letter To You』


14 筒井 義樹  栃木県宇都宮市  56歳

1. Cy Timmons 『Heaven’s Gate』

2020年はこの素晴らしい復刻がダントツだった。

2. Dan Penn 『Living On Mercy』

ジャケにワクワクし聴いたら期待以上だった。

3. Neil Young 『Homegrown』

Neil Young を一番聴いた年かも。『Colorado』から続けてずっと聴いていた。


15 芳賀 幸友  東京都  55歳

誰でもそうでしょうが、今年は新型コロナ禍で生活が大きく変わりました。僕の仕事は基本在宅勤なし。外出する度に感じるストレス、大切な友達となかなか会えないストレスの中、これまでの自分自身の歩みを省みる時間も多くなり、音楽の嗜好もこれまでとは大きく変わってきたような気がします。

1. Rei 『Honey』

Rei がSSWとして一皮も二皮も剥けたように感じるアルバム。まさか自分が一回りも年下のミュージシャンの音楽にこれほど心を動かされるとは思いませんでした。自分にとってはコロナ禍で最も励まされた一枚といってもいいかも。彼女が孤独の中で自分と対峙し、身を削って音楽を作った事がよく解り、その一途さに胸を打たれます。Reiは、作詞作曲、歌、ギターはもちろん、他の楽器やサウンドメイク、ライナーノーツのデザインや付属映像の監修にまで携わってます。これほど「伝えたい」と言う思いが強く伝わるアルバムに出会ったのは久々。
この変わってしまった世界に、僕はこれほど正面から向き合う事が出来たんでしょうか…。絶望からも目を逸らさず、これだけの作品が作れたのは「若さゆえの強さ」だと思う。その若さが僕には眩しいです。

2. 細海魚 『LOST』

Heatwaveのメンバーであり、SIONなどのサポートで活動しているキーボーディスト、細海魚のソロアルバム。ウーリッツァーとギターを中心に作られたインスト・アルバムで、アンビエント的な趣もありますが、音はとてもオーガニックで気持ちが落ち着きます。喩えて言えば、森の中で、若葉に降り注ぐ雨の様子を車の中からフロントガラス越しにみているような感じ。
1日の終わりがどんなに不安なものでも、このアルバムを小さな音で部屋に漂わせると、いつの間にか眠りにつく事ができました。

3. ピチカート・ワン・イン・パースン 『前夜』

昨年10月に行われたライブを収めた一枚。この日は、奇しくも台風19号が未曾有の被害を引き起こす前夜でした。人の消えた町を横目に、小西さんのパーソナルな歌を聴くのは、戦時下のシェルターで聴く音楽のような趣がありました。そして、今年は新型コロナウィルスの影響で世界中が外出自粛。そういう意味で「前夜」はダブルミーニングになっています。ジャズ・コンボを従えてのリラックスした、だけどどこか不穏な空気感の演奏は、奇しくも今の世界のムードと繋がります。


16 百間  新潟県  43歳  https://twitter.com/hyakuken

1. ClariS 『ClariS 10th Anniversary BEST – Pink Moon & Green Star -』

2. DIALOGUE+ 『DREAMY-LOGUE』

3. 堀江美都子 『One Voice』

以下次点(順不同)
Benjamin Biolay『Grand Prix』、Gaël Faye『Lundi Méchant』、Hazel English『Wake UP!』、Louise Verneuil『Lumière Noire』、Petit Prince『Les Plus Beaux Matins』、上田麗奈『Empathy』、菅野みち子『銀杏並木』、工藤晴香『POWER CHORD』、ニノミヤユイ『愛とか感情』、ミュウ(CV:高橋李依)『Song of LISTENERS: side Goodbye』

1はデビュー10周年を迎えた女性歌手2人組のベストアルバム2枚組。多くのアニメ作品等の主題歌担った活動の集大成に幸せな歳月重ねた感慨かみしめ、そして1/3以上占める新録音の歌声は次の地平へと走り始めた躍動溢れて心ときめきました。

2は昨年デビューしたばかりの女性声優8人組のファーストアルバム。今年は声と歌の両輪で走る若き声優兼歌手たちの躍進が印象深く、代表として選出。流行り病で音楽活動が困難な状況打ち破らんとするエネルギーひときわ伝わり、心奮い立ちました。

3は女性歌手・声優のデビュー50周年記念カバーアルバム。古今のアニメ映画主題歌に新たな命宿す声には映画と楽曲への敬意と歌への旺盛な好奇心が溢れていて、長くキャリア重ねてもなお前進目指す凄みと飽くなき情熱伝わり、頼もしく感じました。

2010年代締めくくる1年は流行り病に仕事も生活も趣味も大きく揺れ動きました。遠出しにくい状況で現地LIVE行けない寂しさはありますが、定額制配信サービスと配信LIVEが新しい音楽の聴き方に加わり、例年以上に沢山の素晴らしい音楽と出会い先行き不透明な毎日を過ごす活力になりました。選択肢広がった中、どう音楽生活を再構築するかを2021年の課題にします。


17 福田 秀貴  東京都  52歳

* Bob Dylan 『Rough And Rowdy Ways』

* Watkins Family Hour 『Brother Sister』

* Elvis Presley 『From Elvis In Nashville』

今年は自宅に居る時間が長かったせいか新旧問わず音楽を良く聴きましたが、今年購入したものではこの3枚が良く聴いたものです。


18 真紀  東京都

1. Dan Penn 『Living On Mercy』

大好きな Dan の新作。Dan の歌声にどんなに癒され、ときめいたことでしょう。期待通り、いや、期待以上。2019年の来日ライブでも「I DO」を聴き、しびれましたが、ホント、今の Dan が歌う「I DO」がまた素晴らしいなぁとしみじみ。

2. Bob Dylan 『Rough And Rowdy Ways』

一番聴いたアルバムかもしれません。暗く沈んだ日々に、Dylanの新譜の知らせは、本当に明るいニュースでした。ちらっとマンドリンが入っている曲もあるので、覚えたくてたくさん聴いていました。「I’ve Made Up My Mind To Give Myself To You」がやっぱり好きです。「Black Rider」のコード進行が、なかなか難しい~

3. Nick Lowe 『Lay It On Me』

Nick が新譜を出してくれること、歌声が聴けること、それだけでも十分幸せなのに、今の Nick らしさがいっぱいで、ファンにはたまりません。またカヴァー曲は、Nick がどんな音楽を聴いてきたのかを垣間見られるので、それもまた嬉しかったです。(まるで Nick の曲のようにさらりと歌っているところもいい!)Nickの「ほぼ自伝」の翻訳版もまた、めっちゃ嬉しかった~~~!!! 


19 増田 和彦  千葉県  58歳

* Bruce Springsteen 『Letter To you』

今のスプリングスティーンならではの人生観、深いです。E Street サウンドも最高!

* Dan Penn 『Living On Mercy』

やっぱりこの音には癒やされます。本人も素晴らしいけど、ブラック系のミュージシャンのボーカルでも聴いてみたい。

* Tom Petty 『Wildflowers & All The Rest』

やっと出たデラックス版。アウトテイクスも素晴らしいけど、オリジナル作品の素晴らしさも再認識。

- 番外編 -

* Bruce Springsteen 『Live At The Fox Theater Atlanta Sep.30 1978』

今年もスプリングスティーンのオフィシャル・ライブ・アーカイブスより。この時代のライブは格別。


20 松井 慎一  神奈川県  65歳

- 新譜盤 -

1. The Wilderness Yet 『Wilderness Yet』

繰り返し聴くたびに、時代にマッチした「静謐さ」を感じ取れる、久し振りにトラッドの良さが響いてくる好盤です。スティーライ、フェアポート、サンディー・デニー達を引っ張り出して、暫し聴き入る「きっかけ」を与えてくれました。

2. ルーマー 『ナッシュビル・ティアーズ』

聴き込む内に良さが分かりましたが、彼女が「意識的に」歌への向き合い方を変えたのだ、と気付くまでは時間を要しました。

3. ジェームス・テイラー 『アメリカン・スタンダード』

何を歌っても「変わらない」姿勢に、妙に安心してしまう、不思議な歌声。でも、やはり新曲が待ち遠しい。

次点 Molly Tuttle 『But I’d Rather Be With You』

ノー・マークでしたが、ブルー・グラスというカテゴリーとは無関係に今後への期待大です。

- 旧譜盤 -

1. プリンス 『サイン・オブ・ザ・タイムズ』(3CD)

文句ナシに好きです。音も良くなり、嬉しい限りです。

2. Tom Petty 『Wildflowers & All The Rest』(2CD)

トムが元気な内にもっと聴いていれば良かった、と悔やまれる今日この頃です。

3. 山下達郎 『Pocket Music』『僕の中の少年』(2020リマスター)

バート・バカラックやブライアン・ウイルソンと同様に、今年、ライヴに参戦出来なかった「口惜しさ」をちょっとだけ癒してくれました。(両盤共に楽曲は文句ナシ!)

次点 Grateful Dead 『Workingman’s Dead』『American Beauty』(共に50周年記念盤)

何を今更ですが、両盤に添えられたライヴの「質・音」の「高さ・良さ」には嬉しい驚きがありました。

世界中が正体不明の「不安感」に立ち向かう中で、今年は、本当に、音楽に助けられた一年でした。来年こそは、明るく前向きに、出来れば、まりやさんや達郎さんのライヴに行ければ、と願う日々です。


21 松波 宗義  八王子市  75歳

1. Chris Jones 『No Looking Back』 (’82)

2. Chris Ducey 『Duce Of Hearts』 (’75)

3. Msichael Monroe 『Summer Rain』 (’80)

2020年は誰もが想像もしなかったコロナウィルスによるパンデミックによって、人々の生活が一変しましたね!この状況が後何年続くのかを考えると憂鬱になりますが、来年も音楽に助けられて生きのびて行くつもりです!

年間BEST3ですが、新盤には手が回らないので、今年もBEST1はあきる野に在る Cafe ToRamona のオーナーさんに教えて貰った米国SSW、BEST2は武蔵小金井に移転したレコファンでゲットした、ヴァン・モリソンのそっくりさん、ジェイ・グレイドン、デビッド・ゲイツ参加でびっくりの一枚、BEST3はその昔ラジオで聴いた覚えのあるAOR、名作です!


22 Mayumi Abe  東京都  https://www.facebook.com/heartbreakers.jp

* Tom Petty 『Wildflowers & All The Rest』

待ち望まれた『Wildflowers』のアウトテイクetc.集。未発表曲やデモなどアルバムの制作過程を思いながら聴くことができました。リリースは心から嬉しいですが、これが出てしまうと後はどうなるんだろう… と複雑な気持ちでもあります。

* The Dirty Knobs 『Wreckless Abandon』

ボーカルが決して上手くはないのは百も承知ですけど、ファンにとっては馴染みのある素敵な演奏です。Mike Campbell の作り出す音楽を多くの方に聴いていただきたいです。


23 水口 正裕  神奈川県  65歳

1. Kat Edmonson 『Dreamers Do』

2. Steve Earle & The Dukes 『Ghosts Of West Virginia』

3. 西寺郷太 『Funkvision』

1の Kat Edmonson は、前作を一昨年選んでますね。大好きです。2は、結果的に2020年最後の(もしかしたら生涯最後の?)ニューヨーク行きとなった2月の下旬に観たオフ・ブロードウェイ・ミュージカル『Coal Country』の楽曲を、作者である Steve Earle が自らのバンドと共に録音したもの。実際に起こった炭鉱事故に取材したドキュメンタリー・ミュージカルで、舞台では Steve Earle 本人が弾き語りで聴かせていました。3は、ダンサブルな曲が並んだ後、静謐な「あの公園で会おう」で締めるところが気に入ってます。


24 MOTO  西東京市  55歳

1. Burt Bacharach & Daniel Tashian 『Blue Umbrella』

2. Gary St. Clair 『Gary St. Clair』

3. Tower Of Power 『Step Up』

4. Bob Dylan 『Rough And Rowdy Ways』

5. 藤井風 『Help Ever Hurt Never』

Linda Ronstadt with Nelson Riddle Orchestra 『Lush Life』

Linda Ronstadt with Nelson Riddle Orchestra 『For Sentimental Reasons』

両親が言い合せたように次々に他界。もっと幸せな送り方をしたかった、と悔いが残る。しかし、どんな時にも傍らに寄り添ってくれる音楽があった。それが心強く支えられた。長年探していたゲイリー・セイント・クレアやリンダ&ネルソン・リドルの2枚(盤質NM)は、例年より中古屋を回れない少ない機会の中で、サプライズと癒しを与えてくれた。

そして、もっとも落ち込んでいたときに、聴いていたのはTOPとディランの新作。TOPの躍動とディランの「わび・さび」の境地にも似た穏やかさ。どちらも優しく背中を押してくれた。モバイルで最も聴いたのが、天辰さんのSNSで知った1、コロナ禍という恵まれない時期にデビューした若きシンガー・ソングライターの5。風くんは、岡山弁丸出しの豪快さと女々しくセンシティヴな感覚が同居する不思議な魅力を放っていた。


25 森 陽馬  東京都  46歳

* 安宅浩司 『The Aces』

日々の悲喜交々を友人と語り合っているような、普段着の温もりを感じさせてくれる1枚。ほのぼのとして、朗らかで、そして味わいがじわじわと沁みてきます。

* 寺尾紗穂 『北へ向かう』

寺尾紗穂さんは2020年アルバムを2作発売しました。『北へ向かう』、『わたしの好きなわらべうた2』、どちらも力作。「そらとうみ」の歌声に感動しました。

* Tim Bowness 『Late Night Laments』

コロナ禍のSTAY HOMEを描いたジャケット。独特な音の隙間を縫うように紡がれる歌と静謐な演奏。空が白んで、夜もそろそろ明けそうだという時間に聴きたい1枚。


26 若松 隆  埼玉県

1. ボブ・ディラン 『ラフ&ロウディ・ウェイズ』

2. ニール・ヤング 『リターン・トゥ・グリーンデイル』

3. パール・ジャム 『ギガトン』

来日公演が中止になってしまったボブ・ディランでしたが、8年ぶりの新曲、しかも17分にも及ぶシングル曲が発表された時には驚きました。ニール・ヤングは突然リリースされた『Archives Volume II』を中心とした過去音源で楽しませてくれました。特にグリーンデイルのライブステージ映像は懐かしく、うれしかったです。また、パールジャムも6年ぶりに元気なところを見せてくれ勇気づけられました。


26 天辰 保文  千葉県  71歳

* ボブ・ディラン 『Rough And Rowdy Ways』

* ジェイムス・テイラー 『American Standard』

* バート・バカラック&ダニエル・タシアン 『Blue Umbrella』

ボブ・ディラン、ジェイムス・テイラーのレコードが頻繁にターンテーブルに乗り、バート・バカラックの他にも、ディオン(『Blues With Friends』)やブルース・スプリングスティーン(『Letter To You』)などベテランにため息をつき、ビル・キャラハン(『Gold Record』)やブレイク・ミルズ(『Mutable Set』)に震え、ハイム(『Women In Music Pt lll』)やローラ・マーリング(『Song For Our Daughter 』)には、気持ちのいい刺激を覚えました。

ホアキム・クーダー(『Over That Road I’m Bound』)とサム・アミドン(『Sam Amidon』)を聴きながら、遠くに旅に出たくなったり、ジェブ・ロイ・ニコルス(『Season Of Decline』)はデジタルEPでしたが、心癒されました。ぼくにとっては、コロナ禍に入る前の最後の生ライヴだったこともあり、ローニン(『Ronin Live In Japan』)のライヴ盤も印象深かったり、グレイトフル・デッドの50周年記念盤(『Workingman’s Dead 50th Anniversary Deluxe Edition』)やパブ・ロックのコンピレーション(『Surrender To The Rhythm The London Pub Rock Scene Of The Seventies』)等々を通じて新たな発見も多々ありました。

そしてまた、ダイアナ・クラールが歌うボブ・ディランの「ディス・ドリーム・オブ・ユー」(『This Dream Of You 』収録)にうっとりさせられ、新型コロナウイルスによる合併症で他界したジョン・プライン生前最後の録音として発表された「I Remember Everything」が、ぼくには2020年という年を決定づける1曲となりました。


昨年のいま頃、まさかこんな1年になるとは思いもしませんでした。たぶん、皆さんもそうだったでしょう。新型コロナウイルスの猛威に操られ、いつの間にか1年が経ったような気がします。と同時に、1年しか経っていなのに、遠い昔のことのようにも思えたりと、気持ちさえもが落ち着く場所を見つけることが出来ずさまよい続けている感じです。

この間、本当にいろんなことが起きました。ぼくは、もっぱら巣ごもりの日々を重ねてきましたが、いろんな場所でいろんな人がいろんな形でその人なりにこの試練と向き合い、言葉に出来ない思いを抱えながら過ごしてきたことと思います。この先も予測がつかない状況ですが、いつか光が注ぐ道の何処かで再会できることを信じながら、また1年、しっかりと歩きつづけようと思っています。なにしろ、ぼくらには音楽という強い味方が足元を照らしてくれていますから…。ともあれ、皆さんも、身体にはくれぐれも気を付けて、笑顔で再会できますように…。1年後は、ここですよ、必ず!!!!!!

2021年 1月 天辰保文