今年出会ったアルバム 「BEST 3」 * 2017年


1 赤谷 隆一  東京都  61歳

1. スティーブ・ウィンウッド 『Greatest Hits Live』

1曲目「I’m A Man」から ハモンドオルガンもヴォーカルも凄い凄い。50年前の曲もソウルフル!ずっと好きなシンガーです。

2. 四人囃子 『四人囃子アンソロジー: 錯』

アルバム聴き続けて来ました。演奏についてはよく言われるけど、その歌詞も実は日本の風景を多く歌っているのをご存知ですか。 後楽園球場で夕焼けのなか「一触即発」を聴いたことは忘れられません。

3. トム・ペティ&ハートブレイカーズ 『ライブ・アンソロジー』

インドでは買えなかったものをようやく日本で入手したあとあんな事となるなんて。でも前のライブアルバムやこのCDはずっと残ります。有難う先輩!

インドから戻って1年余り、まだ溝をこの慌しい日々では埋めることが出来ていません。今年も流されないように頑張ります。


2 阿多 真人

1. Thundercat 『Drunk』

ケニー・ロギンズとマイケル・マクドナルドの「Show You The Way」で何じゃこりゃ!とやられて、アルバム聴いてみたら更に奥深いサンダーキャットの魅力にハマった、そんなアルバム。僕の今年のサウンドテーマである「ケンドリック・ラマー周辺ミュージシャン達による浮遊感満点のR&B・ジャズ・フュージョン系サウンド」を代表するアルバムでした。

2. Khalid 『American Teen』

これも僕の今年のサウンドテーマの「浮遊感満点のR&B」にひっかかるサウンドで、しかも19歳の新人シンガーがこんなに表現力あ るボーカルで歌うとは!とビックリさせられて、気が付いたら繰り返し聴いていました(笑)。

3. Jason Isbell & The 400 Unit 『The Nashville Sound』

やっと天辰さんの企画にふさわしいアルバムです(笑)。今回のジェイソンは、前回ジャクソン・ブラウンっぽかった感じから一転 して、凜々しいというか、やっぱりトランプ大統領就任を受けて社会的な憂鬱をぶつけてきているというか、何にしても聴いてて前作以上の力の入ったサウンドと、歌詞が気になったアルバムでした。今年のアメリカーナ系では自分的にはダントツでしたね。


3 伊東 潔  千葉県  62歳

1. 阿佐ヶ谷ロマンティクス 『街の色』

まったく未知の日本のバンドながら、たまたま、彼らの「所縁」のユーチューブの映像を見て、彼らの音楽に興味を持ち、彼らのアルバム『街の色』に一目惚れ、ヘビロテになりました。レゲエをリズムの土台にしたシティ・ポップ、タウン・ポップのサウンドがとても気持ちよく聴けました。これからが楽しみなバンドです。

2. Oh Wonder 『Ultralife』

イギリスの男女でデュオの Oh Wonder の2枚目。エレクトリック・ポップの範疇に入るのか。女性リード・ヴォーカルのスウィートな歌唱と二人の作りだすサウンドがいい塩梅にマッチしてよく聴きました。ただ、来日公演を見逃したのが残念でした。

3. Beck 『Colors』

ポップでダンサブルなサウンドに Beck のあのヴォーカルが映えるのにびっくり。こんなに愛聴する Beck のアルバムはめずらしい(笑)。

以上、順位はないベスト3です。

ほかによく聴いたアルバムを列記いたします。
Roadcase Royale『First Things First』、Kelsea Ballerini『Unapologetically』、秘密のミーニーズ『It’s No Secret』、Paramore『After Laughter』、Ce Ce Winans『Let Them Fall In Love』、The Walls Group『The Other Side』、Tamar Braxton『Bluebird Of Happiness』、高野寛さん『Everything Is Good』、Niia『Ⅰ』、また配信ほかで Julia Michaels『Issue』、Poppy『Moshi,Moshi』、韓国のロックバンド Se So Neon『A Long Dream』などもよく聴きました。


4 恵本 俊文  札幌市  52歳

1. カーネーション 『Suburban Baroque』

彼らの作り出す良質なロックは今も昔も変わらない。はっとするメロディー、おっと思わせるグルーブ。今年は結成35年、6月の日比谷野音に行かねば!

2. 浜田真理子 『タウン・ガール・ブルー』

シンプルなピアノと柔らかな歌声が持ち味だが、本作は久保田麻琴がプロデュースに名乗りを上げ、手練れのミュージシャンがサポートする。アナログ機材で録音する気合いの入りよう。

3. 小暮はな 『AZUR』

ポルトガルで活動していたこともあるだけに、哀愁を帯びたファドを思わせる曲を、澄んだ声とギターで弾き語る。ライブもいい。栗コーダーの関島岳郎さんがいい仕事。

次点 … Alice Babs & Ulrik Neumann 『When the Children Are Asleep…』
ハイファイレコードストアの試聴で、とりこになってしまいました。アナログは高価なので、とりあえずCDで繰り返し聴いています。


5 大浜 稔  三鷹市  60歳

1. The Waterboys 『Out of All This Blue』

2. Neil Young 『Hitchhiker』

3. 大塚まさじ 『いのち』

今年もあまり聴いてないなあ。


6 小尾 隆  東京都  59歳  http://obinland.exblog.jp/

* James Hunter Six 『Hold On !』

* 佐野元春&ザ・コヨーテ・バンド 『マニジュ』

* Garland Jeffreys 『14 Steps To Harlem』

ハンターの質実剛健なパブ・ロックに励まされ、佐野さんの錆びつかないソングライティングに心奪われ、ジェフリーズの変わらぬ目線の低さに感服した一年でした。「音楽は佳き伴侶になる。それはきみが凍て付く時かもしれない」誰かのそんな一言をふと思い起こしました。


7 川田 寿夫  東京都  58歳

1. Dan Penn 『Something About The Night』 (Dandy Records / DND004 / CD / 0888295513852)

ダン・ペンの4年振りとなる待望の新作、デモ・シリーズ第4弾『サムシング・アバウト・ザ・ナイト』。今作も前作同様に素晴らしいいぶし銀のような味わい深い内容となっており、末永く聞ける確かな1枚。ボビー・エモンズ、ウェイン・カーソン、スプナー・オールダム、カーソン・ウイットセット、バッキ―・リンゼー等、ベテラン勢と作曲した全13曲を収録。

2. Garland Jeffreys 『14 Steps To Harlem』 (Luna Park Records / LP006 / LP / 0040232553219)

ガーランド・ジェフリーズの2017年新作アルバム『14 ステップス・トゥ・ハーレム』。アーティスト側からの要請があり、緊急対応でインストア・ライヴ&サイン会をやらせていただきましたが、音楽のみならず、その人柄の素晴らしさに感動。しばし、マイ・ブームとなりました。

3. Rusty Young 『Waitin’ For The Sun』 (Blue Elan Records / BLER1052.1 / LP / 0852091006788)

ポコのラスティ・ヤングがまさかの初のソロ・アルバム。往年のポコ・サウンドと年輪を重ねた歌唱が素晴らしい佳作です。今年も素晴らしい新譜、初出のお蔵入り音源、再発等が多かった一年でしたが、既に2018年も素晴らしい新作等が多く予定されているので新年も充実した一年になりそうな予感。


8 キーノ  東京都  59歳  http://green.ap.teacup.com/kino1958/

- 新譜編 -

1. The Secret Sisters 『You Don’t Own Me Anymore』

ロジャース姉妹の3枚目はついに The Everly Brothers の域に達したと言ったら言い過ぎだろうか。彼女たちのクローズ・ハーモニーはとても素晴らしい。殆どが自作もしくは共作と曲作りにも目を見張る。

2. Don Bryant 『Don’t Give Up On Love』

昨年の William Bell 同様に前年来日、そして今年に奇跡の新譜リリース。驚きです!それもここまでクラシカルなサザン・ソウルが2017年に聴けるのかという徹底ぶり。声も出てるし、同じ様にハイ・リズムを使った Robert Clay よりも評価してます。

3. Chris Hillman 『Bidin’ My Time』

久々のソロ・アルバムはプロデュースした Tom Petty 最後のお仕事になってしまった(涙)。メンツだけ見ても唸らさせられる。Gene Clark の曲もあり、ブルーグラス、カントリーよりフォーク・ロック的な色合いを強く感じた。「Here She Comes Again」は最高です。

- 再発・発掘編 -

1. Longbranch / Pennywhistle 『ST』

2. Jerry Yester 『Pass Your Light Around』

3. Neil Young 『Hitchhiker』

1.はやっと出ました Glenn Freyと JD Souther のデュオ作。内容はともかく出た事でダントツの1位は決まりです。2.はサウンド・プロダクションもしっかりしておりデモって感じでもない。MFQとして出してもいいような曲も沢山で楽しい1枚でした。3.は既に聴いたが曲がほとんどだがギター弾き語りでの歌唱は無垢なままで素晴らしい。


8 齋藤 皓太  千葉  63歳

今年は穏やかな作が多かった気がした。長年付き合っているアーティストも年齢なのだから仕方ない。

1. ロン・セクスミス 『ザ・ラスト・ライダー』

本当に心温まるよいアルバムだと思う。

2. ポール・ブレディ 『アン・フィニッシュド・ビジネス』

棄て曲なし。大傑作。

3. ガーフ・モーリックス 『ザ・ソウル&ザ・ヒール』

すごい曲があるわけではないが、とにかく楽器の音一つ一つにガッツがある。

4. ヴァン・モリソン 『ロール・ウィズ・ザ・パンチズ』

こんなによいアルバムが続くとは嬉しいかぎり。

5. ニール・ヤング 『ビジター』

気持ちが若返った?声は衰えたが。

編集盤としては、ディランの『トラブル・ノーモア』に唸り、ニールの『ヒッチハイカー』を繰り返し聴き、J・ブラウンの『ロード・イースト』の無理しない歌声に癒された。
日本の盤では、我がバンド『ザ・ローカル・トレイン』が完成。ジ・イグノランツの『涙よとどけ』に泣き、ドリムーンの『今日はもう明日』に心揺さぶられた。


10 坂下 栄一  東京都   60歳

* Gregg Allman 『Southern Blood』

「Song For Adam」 何回聞いたかわからないほど聞いていました。あの声が詰まってしまうところ…

* Steve Winwood 『Winwood Greatest Hits Live』

2枚組でとても聴き応えがあり長い間通勤のお供でした。かっての仲間たちが逝ってしまった今、Dave Mason の客演を夢見ました。

* Chris Hillman 『Bidin’ My Time』

すぐ誰かわかる12弦ギター、聞き覚えのあるコーラス、まるで The Byrds。プロデュースは Tom Petty、「Wildflowers」最高です。


11 笹野 恒夫  神奈川県  63歳  http://cypressave.d.dooo.jp

* Procol Harum 『Novum』 (2017 Eagle/Universal)

* Various Artists 『Listen People: The Graham Gouldman Songbook 1964-2005』 (2017 ACE)

* Rhiannon Giddens 『Factory Girl』 (2017 Nonesuch)


12 柴田 廣次  東京都  1960年生

1. David Crosby 『Sky Trails』

2. Michael McDonald 『Wide Open』

3. Nai Palm 『Needle Paw』


13 芝野 めぐみ  インドネシア、バリ島  62歳

1. Gregg Allman 『Southern Blood』

今年出たアルバムの中では、やはりこれです。最後まで「南部の荒くれ男」でいて欲しかった気もしますが、死期を感じ取った Gregg の渾身の一枚です。泣けます。

2. Devon Allman 『Ride Or Die』

今まで、Allmans 2世には興味がなかったのですが、Gregg の死後色々聞いてみて、Devon は、幸いにも Gregg に声もルックスも似ていないので、オリジナリティがあります。骨太のロックは、2世以上のものを感じさせます。

3. Gugun Blues Shelter 『Hitam Membiru』

インドネシアが誇る最強のブルース・ロック・トリオ。Gugun のギターはさることながら、Bowie のグルーヴ感溢れるドラム。素晴らしいです。1度聞いてみてください。


14 高橋 俊博  東京都  55歳

1. Chris Hillman 『Bidin’ My Time』 (2017)

Chris Hillman の12年ぶりのソロアルバム。前作でも The Byrds や Manassas の曲を取り上げていたが、今回も同様に Gene Clark 作のThe Byrdsの名曲「She Don’t Care About Time」、Tom Petty の「Wildflowers」などをカヴァーしていました。オリジナル曲は少ないですが、収録された曲どれもが Chris の味わい深いヴォーカルで歌われると一層の輝きを増すような感じがします。バックを固めるのは John Jorgenson、Herb Pederson。オリジナル The Desert Rose Band の3人が揃いました。さらに Roger McGuinn、David Crosby も参加。The Byrds 時代の見事なコーラスを再現してくれています。プロデューサーの1人には Tom Petty。残念なことに、このアルバムが現時点で生前最後のプロデュース作となってしまいました。

2. Various Artists 『Iconic Performances from the Monterey International Pop Festival』 (2017)

初登場の音源を含む1967年に開催された Montrey Pop Festival のコンピレーション・アルバム。ヒッピー思想の多くは幻想だとはわかっていますが、昔から理屈抜きに<あの頃>に惹かれてしまいます。きっと自分の中にあの時代の若者同様に<愛と平和>を望み信じたい部分があるのでしょう。年寄りのくせに青臭い(苦笑)。1曲目に収録されているのは私が世界で一番好きなバンド Buffalo Springfield の「For What It’s Worth」。若干不安定な部分があるもの見事な演奏を聞かせてくれます。The Byrds の David Crosby がゲストとして支えているのも大きいでしょうが、メンバー個々の演奏力と歌が同時代のバンドの中でも抜きんでいる存在だったことがこの音源を聞けばわかると思います。全部で6曲演奏したのですが映像・音源共に公式に発表されたのはこの1曲のみ。残念です。いつの日か全曲公開されることを望んでやみません。

3. Son Volt 『Notes of Blue』 (2017)

Son Volt の4年ぶりのアルバム。深みの増したソングライティングとヴォーカル。これ以上はないというほど全編に Jay Farrar の魅力が満載の作品です。少ない楽器編成で、これほどの世界観を聞かせてくれるのは驚きです。緻密でありながら適度にラフでルーズなところがあるのもこのバンド=Jay Farrar の素晴らしさです。いつの間にかベテランの風格を漂わせ始めましたが、変に落ち着くことなくこのまま音楽を突き詰めていって欲しいと願うばかりです。


15 Tak.“SPIKE”  岡山県  55歳

今年はずいぶんCDの購入枚数が減ってしまい、純粋な新譜でのベストが選べませんでした。ということで、以下の3枚のカバーアルバムをよく聴いていました。

* Venice 『Brunch Buffet』

* Shelby Lynne & Allison Moorer 『Not Dark Yet』

* Erin Bode 『Here & Now』

それから、Nick Lowe 先生のソロが再発されたのですべて買い直しましたが、持っていた古いCDも捨てられず… 棚がいっぱいです。
来年は I’m With Her のアルバムがついに発売されるので、2018年のベスト3の1枚は決定です。


15 田中 一也  京都府福知山市

1. Paul Brady 『Unfinished Business』

新作はもう作らないという話もあったアイリッシュソウルの大御所による軽さも備えた傑作。M9「Maybe Tomorrow」はマスターピースだと思います。

2. Garland Jeffreys 『14 Steps To Harlem』

80年代の熱さはそのままに、独自のコスモポリタンミュージックを深化させた、もう一人のミスターN.Yによる新作。M9は盟友 Lou Reed の「Waiting For the Man」。

3. Nick Heyward 『Woodland Echoes』

瑞々しく、美しく、そして捻じれたメロディーは健在どころか、さらに研ぎ澄まされているかのような新作です。


17 田邊 弘一  北海道  55歳

* The Beatles 『Sgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Band』

* Ringo Starr 『Give More Love』

* Phoebe Snow 『Against the Grain』

敢えて順位は付けませんが、振り返ってみると、よく聴いた音楽は、昔から好きなアーチストの作品が多かった様です。ビートルズは、この50周年記念のDVDを観て、CDを聴いてから、無性に初期のライブが聴きたくなり、折からのライブ音源CD群の発売とあいまって、かなりはまりました。50年を経て、ビートルズを選ぶとは、自分でも、意外な結果です。

リンゴは、映画”A Hard Day’s Night”を観て以来のファンなので、音楽をやり続けてくれるだけで嬉しいです。この新作では、ポールとのリズム隊やジョージとの共作曲の再演が聴けて、大満足でした。再発されたフィービーの1978年の作品は、他の作品よりもソウルフルな曲が多く、約40年前の作品にもかかわらず、愛聴盤になりました。

これらの他に、ベルウッド・レコード45周年記念コンサートを聴きに行ったのを機に、ベルウッドの作品をたくさん聴き直しました。また、加藤和彦の『ヨーロッパ三部作・ベストセレクション』もよく聴きました。


15 土橋 博雄  東京都  60歳

1. 遠藤賢司 『けんちゃんのピアノ画(すけっち)』

2. 細野晴臣 『Vu Jà Dé』

3. Neil Young 『The Visitor』

還暦を迎え公私共に様々な事の起こった1年でした。僕にとって最大の衝撃は遠藤賢司の訃報です。いまだにエンケン・ロスが続いています。初めて生で聴いた1971年の野音から渋谷クアトロのラスト(!!)ライヴまで、本当に数え切れぬほど遠藤さんの「音」を浴び続けてきました。渋谷BYGでのライヴが一番多かったように思います。

四十九日も過ぎた12月某日、ものすごく久しぶりにBYG近くの(エンケンの愛した)ムルギーのカレーを食べに行きました。いつのまにか行列のできる店になっていたのに驚きはしたものの、激変した渋谷でもあの辺りは僕が通っていた45年前とあまり変わっておらず、しみじみと感慨に耽りました。1972年の渋谷にタイムスリップした感じです。当時ヤマハにはよく細野さんや茂さんが屯しており、店内には Neil Young が流れ…と、もう完全に懐古モードです。

という訳で2017年の3枚は、限りなく美しいエンケンの遺言、新譜が常に最高傑作の細野さん、そして、まるで Buffalo Springfield の新譜を聴いているかのような錯覚に陥る Neil Young の新譜、となりました。


19 中島 一男 (kofn)  千葉県  52歳  http://ameblo.jp/kofn/

* 佐野元春 『MANIJU』

* COUCH 『Little Dancer』

* ウワノソラ 『陽だまり』

Spotify や Apple Music などで多様な音楽が手軽に聴けるようになったことは良いことだと思うが、気に入ったアルバムを大切に何度も繰り返して聴くという行為が少なくなってしまった。一度だけしか聴かないアルバムが増え、出来るだけたくさんの種類の音楽に触れたいがためにつまみ食いのような聴き方にもなってしまった。そんな中でこの3枚は珍しく何度も繰り返し聴いたアルバムだ。

全て日本盤なのは偶然か、または日本盤はやはりCDでしか聴けないからなのか。今年はあえてネットの情報をセーブして数ではなく質を楽しむ聴き方をしたいものです。


20 中安 亜都子

昨年、頻繁に聞いたアルバムです。

1. マイルス・デイヴィス 『ビッチェズ・ブリュー』

2017年上半期はずっとこればかり聞いていた。ポリリズムが地下水脈のように流れ、その上に重層的なアンサンブルが広がる。その妙味。今なお新鮮&斬新。1969年録音というデータに今更ながら驚く。ちなみにイラストはサンタナの『天の守護神』のジャケットイラストも描いている mati。

2. キーヨン・ハロルド 『ミュジシャン』

ジャズ=ヒップホップの格好良さを凝縮した作品。構成はとても緻密だ。グラスパー以降のここから先が今後のテーマだと思う。

3. シャーロット・ゲンズブール 『レスト』

ポール・マッカートニーまでもが楽曲提供する彼女の歌の魅力はなんだろう。ダークでかつ透明な印象はまさに「黒のクレール」という言葉を思い出させた。儚げでありながら磁力を感じる。

4. ジェーン・バーキン 『シンフォニック・バーキン&ゲンズブール』

娘を挙げたのでその母もというわけではないけれど、中島ノブユキのオーケストラ・アレンジが素晴らし過ぎる!アンサンブルの妙味という意味では、私にとってはマイルス・デイヴィス作品と同等です。


21 NOAH  東京・浅草  54歳

- 邦楽編 -

1. 佐野元春 『マニジュ』

新しい佐野元春が到着した。バンドと佐野元春は更に前に新しく早く走っていた。

2. 萩原健一 『Last Dance』

川崎で会ったショーケンはやはり気になる男でした。ここには50周年のショーケンじゃなく今のショーケンが居る。

3. 仲井戸麗市 『Official Bootleg Ongaeshi』

ある日の中野赤黒屋にて、思わず「ああ!」とうなってしまった。一年の締めくくりに大収穫。

- 洋楽編 -

1. Chris Hillman 『Bidin’ My Time』

Tom Petty が天国へ、悲しい一年でしたがこんな作品が見つかった。しっかり残してくれていた。繰り返し聞いていました。

2. Steve Winwood 『Greatest Hits Live』

久しぶりにあの声を聴いたら Spencer Davis や Traffic、Blind Faith など聴きたくなりました。

3. Jeff Lynne’s ELO 『Wembley or Bust』

今年はELOばかり聴いていた。70年代の黄金期は気にもとめていなかったけれど Traveling Wilburys あたりから気になり始めた。まさに今年であった作品の最後にこんな映像が、観客の笑顔がなにより素敵で彼らがいかに英国人にとってheroなのかがわかります。


22 芳賀 幸友  東京都  52歳

2017年は例年以上に新譜の良作がたくさん出た年だと思います。なので、リイシュー盤、ライブ盤等はあえて外し、「新譜」としての My Best3 を挙げてみました。

1. Heatwave 『Your Songs』

セルフカバーアルバムで新曲は一つもないのですが、新しいアレンジ、新しいサウンド、新しいボーカルがまるで新譜のような感動で迫ってきます。部屋で聴くより、雑踏の中で聴くのが合うアルバム。年末の中央線の中で聞いた時は、涙がこぼれそうになってしまい、慌てて電車を降りて駅のベンチで一人アルバムを聴き通しました。

2. Dan Auerbach 『Waiting On A Song』

多分、回数で言ったら一番多く聞いたアルバム。これはある意味、21世紀型R&Bのスタンダードになり得ると思います。とにかく気持ちいい!

3. Chris Rea 『Road Songs For Lovers』

クリス・レア6年ぶりの新作。旅やロード生活への想いをこめた素晴らしい曲たちを燻し銀のボーカルで歌い上げた一枚。歌も演奏も年期の入ったミュージシャンにしか出せない渋さに満ちていて、ため息が出るぐらい素晴らしいです。アナログ盤は2枚組45回転という形式で出されていて、音質にも拘りが感じられます。こんなにいいアルバムが日本でほとんど話題になってないのが歯痒いなあ…。。


22 百間  新潟県  40歳  https://twitter.com/hyakuken

1. ClariS 『Fairy Castle』

2. カーネーション 『Suburban Baroque』

3. 浜田真理子 『タウン・ガール・ブルー』

以下次点(順不同)
Chuck Berry『Chuck』、Randy Newman『Dark Matter』、Jupiter & Okwess『Kin Sonic』、Gerard Depardieu『Depardieu chante Barbara』、Valerie June『The Order Of Time』、 Steve Winwood『Greatest Hits Live 』、KAN『la Rinascente』、遠藤賢司『けんちゃんのピアノ画』、Yunomi『ゆのもきゅ』、Tokyo7thシスターズ『Chain The Blossom』

1は女性2人組による新作。装丁に描かれた扉の先には、聴き手の心に寄り添う歌声が暖かく迎えてくれました。そして導かれるように今年一年、耳を傾ける度にいつしか、周りで支えてくれる大切な人達の心に寄り添いたくなりました。
2は男性2人組バンドによる新作。ハンドルを握る通勤の車中でよく聴きました。懐深くもどこか軽やかな歌声と旋律、音に耳を傾ける度、仕事や生活、人生の先行きへの不安がいつしか和らぎ、走り続けるこの道を信じたくなりました。
3は女性ミュージシャンによる新作。就寝前に部屋でよく聴きました。宵闇にひとつ灯る明かりのような凛とした歌声と旋律、音に耳を傾ける度、慌ただしさに乾いた心が潤い、いつしか今日一日の自分と真摯に向き合いたくなりました。

40代始まりの2017年のアルバムは、前半は洋楽、後半は邦楽の新作中心に聴きました。曲単位では素晴らしいアニメソングの数々に、ライブではClariS単独公演とアニメソング系Fesで観た熱演の数々と会場の熱気に心震えました。音楽を聴く喜びを改めて深く感じた一年への感謝を胸に、2018年はこの喜びを自らの言葉や行動で誰かにつないでいきたいと思っています。


24 Hiroyuki Hagiwara

* Crosby Stills Nash & Young 『Deja Vu』

* Ennio Morricone 『Once Upon a Time in America』

* 山下達郎 『Go Ahead!』


25 福田 秀貴  東京都  49歳

* Ray Davis 『Americana』

* John Mellencamp 『Sad Clowns & Hillbillies』

* Bob Dylan 『Trouble No More』

今年よく聞いたアルバムです。一時期よりは新譜をよく聞くようになりました。さらに今年は自分にとって新しいジャンルでクラシックを聞くようになったのは収穫でした。


26 堀江 博久

* Steve Winwood 『Winwood Greatest Hits Live』

* John Mayer 『The Search for Everything』

* The War On Drugs 『A Deeper Understanding』

自分にとっての最高なアルバムを聴いている時は、ただのにこやかの時間でしかない。今年もどんな新しい出会いの曲があるか楽しみです。


27 真紀  東京都

1. Brinsley Schwarz 『It’s All Over Now』

2017年も Brinsley Schwarz のリリースがあるなんて!しかも幻のラストアルバムが、正規にリリース。こんなに嬉しいことはありません。このアルバムを当時出していたら、もしかしたら解散しなかったかも?なんて思えるほどの名曲の数々でした。

2. Dan Penn 『Something About the Night』

Dan Penn のデモ・シリーズ集です。内容の素晴らしさは間違いなしです!Dan の歌声って、心を震わせる響きを持っていますよね。ずっと聴いていたいと思わせるアルバムでした。

3. Nick Lowe 「6LP + Lunchbox Set」

これを1アイテムとカウントして良いのか迷いましたが… Nick の6枚のアルバムのCDとLPがリイシューされました。LPにはボーナスシングル盤が付き、加えて6枚購入すると、Nick のランチ・ボックスが付くというたまらないものです。ボーナスの曲は、何かで既に発表されたものばかりだったことがちょっと残念かな。でも、2017年も Nick 祭りの嬉しい一年でした。


28 増田 和彦

1. ガーランド・ジェフリーズ 『14 Steps to Harlem』

73歳になってもティーンエイジャーのようなロックスピリット!来日公演も素晴らしかった!

2. ヴァン・モリソン 『ヴァーサタイル』

何と今年2枚目!ジャズのスタンダードに並んでオリジナル曲も遜色なく、聴いているうちにジャンルを超えてヴァンの大きな世界にいつの間にか取り込まれていきます。

3. ブルース・スプリングスティーン 『Live in New Jersey Sep.20 1978』

アルバムでなく、オフィシャル配信&CDRですが、あまりの素晴らしさに入れずにはいられません。やはりこの時代のスプリングスティーンのライブはとんでもなく凄い!

もちろん、別格的にイーグルスのホテルカリフォルニアのデラックス版もですが。ホテルカリフォルニアの初演奏ライブ、貴重すぎます。


29 松井 慎一  神奈川県  62歳

ますます「雑食」となった1年でした。新譜も一生懸命聴いていたつもりでしたが、結果として、旧譜/リイシューが印象に残りました。

1. アレサ・フランクリン 『ブラン・ニュー・ミー』

聴きつくしたと思っていた楽曲のはずが、リズム隊を取り直し弦をかぶせたことで新鮮に響く不思議さ。このような手法に賛否あることは承知していますが、私は、アレサの「新譜」として楽しむことが出来ました。

2. バリー・マン&シンシア・ワイル 『プライヴェート・トレジャース』

バリー・マンの『ソウル&インスピレーション』は昔からのお気に入りですが、それに劣らず「歌」を感じさせてくれる1枚でした。

3. ジェリー・ロス 『サム・カインダ・マジック』

イイですよネ、これ。やはり各楽曲の作りがしっかりしているな~と思わされ、「職人芸」を感じさせてくれる1枚でした。

次点:年金問題がウヤムヤなのに、いきなり、これからは「人生100年時代」とか言われても、というのが庶民の実感。そんな中で、70を過ぎても、元気に新譜を(それも1年に複数枚を)出してくれているニール・ヤングとヴァン・モリソンを応援し続けたいと思います。

通勤時のヘビロテは、イシュトヴァン・ケルテス&ウイーン・フィルの『ブラームス交響曲全集』とアンタル・ドラティー&ロイヤル・フィルの『ベートーヴェン交響曲全集』、という1年でした。なお、エディット・パイネマンというヴァイオリン奏者の音楽に出会えたことが嬉しかったです。


30 松波 宗義  八王子市  72歳

1. スーマー 『泥水は揺れる』 (2016)

2. Eric Quincy Tate 『Eric Quincy Tate』 (1970)

3. White Duck 『In Season』 (1971)

2016年はあっと言う間に過ぎ去りました!天辰さんにも会えずじまいで心残りの多い年でした。
年間BEST3ですが今年はスーマーさんのライブに4回行きましたので迷わずBEST1に挙げました。2、3位は相も変らぬ好物のSWAMPで締めます!


31 Mayumi Abe  東京都  https://www.facebook.com/heartbreakers.jp

* Lindsey Buckingham Christine McVie 『Lindsey Buckingham Christine McVie』

* Chris Hillman 『Bidin’ My Time』

* The Shelters 『The Shelters』

2017年はアップダウン激しく(楽しかった夏と真っ逆さまの秋)… 時間は永遠ではないと、大切なものを失って気づかされました。一方でこの喪失感は永遠に続くのかもしれません。思い続けられるのであれば、それも本望です。

Buckingham / McVie は、想像どおりの内容ながら、新しい試みでファンを楽しませてくれました。Chris Hillman と The Shelters は Tom Petty がプロデュースで関わった作品。『The Shelters』は2016年の発売時はスルーしていたのですが、今年の夏に4回ライヴを観て、なかなか良いじゃんと思った次第。実のところ、音楽はかなり良いのですが、見た目がいけてなくて(笑)。でも、これから彼らが作り出す音楽を見守りたいと思っています。


32 水口 正裕  横浜市

昨年に続き、趣味のミュージカル絡みで。

* Original Cast 『Hadestown』

前回、楽曲作者アナイス・ミッチェル名義のスタジオ録音盤を挙げたが、昨年上演されたオフの舞台のライヴ盤が出た。より躍動的な演奏が劇場の熱気と共に溢れ出る。ブロードウェイでの上演も視野に。

* Various Artists 『The Soul Of Richard Rodgers』

「キンキー・ブーツ」でスターになった俳優ビリー・ポーターが企画した、リチャード・ロジャーズ楽曲の現代ブラック・ミュージック的解釈集。気鋭の舞台人脈以外にデボラ・コックスやレデシーらも参加。

* Original Broadway Cast 『The Band’s Visit』

オフで上演された後、昨年秋にオンに登場。楽曲作者デイヴィッド・ヤズベクの出自(レバノン×イタリア系ユダヤ)を反映するような、イスラエルで迷子になったエジプト警察音楽隊の話。奇妙だが温かい異文化の出会い。音楽も豊潤。2018年年頭時点では配信のみ。


33 MOTO (斉藤元博)  西東京市  52歳

両親の介護に振り回され、じっくりと音楽を聴く時間を確保するのが難しい一年だったが、音楽を介して新しい繋がりが生まれたり、平日の勤め帰りに隙あらば東長崎の Creole Coffee Stand に寄り道して古いR&Bやルイジアナのローカル・サウンドを聴きながらグラスを傾ける束の間の休息に救われていた。

1. HAIM 『Something To Tell You』

待望すぎる2作目。カリフォルニアの気候がのびのび育んだ三姉妹たちが鳴らす音に今回も心からワクワクした。キャラも抜群だけど演奏スキルも益々凄まじく上達していた。今夏一番聴いた1枚。

2. Dave Alvin & Phil Alvin 『Hard Travelin’』

2017年のレコードストアデイにラインナップされたミニアルバム。Lane Hardin の古いブルース・ナンバーをアルヴィン兄弟流儀で解釈したカヴァー「California Desert Blues」が最高でした。

3. DION 『Yo Frankie』

家族旅行で渡韓した際に残っていたウォンを有意義に使い切りたくて最終日に中古レコ屋でGetした1枚。盤質も良く。旅のいい思い出になった。渋谷の音楽バー、Nightflyで行っているイベントで「Always In The Rain」をプレイして好評を博しました。


34 山田 稔明  東京都  http://toshiakiyamada.blog.jp/

1. The National 『Sleep Well Beast』

秋に出会った断トツの一枚でした。今までぼんやりとしたイメージしかなかったバンドの意欲作に完全にノックアウトされました。R.E.M.の後継者だと感じています。

2. HAIM 『Something to Tell You』

オープニングトラックの「I Want You Back」は夏のアンセムでした。面白くて可愛げがあってカッコいい、目の離せない3姉妹バンドです。

3. Conor Oberst 『Salutations』

21世紀のボブ・ディランだと受け止めている彼のソロ名義での新作、キャリア最高傑作だと思いました。


35 良知 範一  静岡市  60歳

* Ray Davies 『Americana』

ジェイホークスのバックバンドがまさにピッタリはまり、楽曲のよさ、ボーカルの叙情性捨て曲なしの素晴らしい出来栄え。

* Gregg Allman 『Southern Blood』

自分の大好きな曲を大好きなメンバーと、死を覚悟したうえで悲しくも楽しく作ったアルバムだと思う。しみじみと感動します。 合掌…..

* U2 『Song Of Experience』

年末最後に届いたU2の新譜。期待通りクオリティーの高い曲が並ぶ。 ボノのライナーノーツは必読です。


36 若松 隆  埼玉県

1. Neil Young + Promise Of The Real 『The Visitor』

2. Bob Dylan 『Trouble No More – The Bootleg Series Vol. 13 / 1979-1981』

3. Various Artists 『Inna De Yard / The Soul Of Jamaica』

今年よく聞いた3枚です。
ニール・ヤングはアーカイブシリーズの『ヒッチハイカー』も感動的だったけれど新作を。とてもプログレッシブで、現在進行形のニール・ヤングを確認することができてうれしかったです。逆にボブ・ディランは、待ちに待った宗教時代のブートレッグシリーズ。歌詞は別にしても、音楽としての充実度が高く素晴らしい内容でした。『イナ・ディ・ヤード』はレゲエがまだ生きていることの証明を見るようでした。


37 天辰 保文  千葉県  68歳

* Ray Davies 『Americana』

* Ethan Gruska 『Slowmotionary』

* Gregg Allman 『Southern Blood』

この3枚の他にも、Steve Winwood『Greatest Hits Live』、Randy Newman『Dark Matter』、The Barr Brothers『Queens Of The Breakers 』、The National『Sleep Well Beast』、Chris Hillman『Bidin’ My Time』あたりも、良く聴いた。旅立つ人も目立ったけれど、それでも、若い頃、夢中になって聴いていた人たちが、いま、それなりの年齢で奏でる音楽に心ときめき、嬉しいことも少なくなかった。また、彼らが過去に残した作品にも新しい発見があったりもした。
文学は文学でしか、映画は映画でしか、どうしても表現できないことがあるように、音楽は音楽でしか表現できないものがあるんだということを、いまぼくは、これまで以上に実感したくなっていて、そのことにわくわくしたりしている。


今回も、沢山の方々が参加してくださって嬉しい限りです。ありがとうございました。
昨年、プロバイダーの都合もあって、In-Cahoots そのものの存続を諦めようかと思ったのですが、この年間 best 3 だけでも続けましょう、と、スタッフの声に励まされ、サイトも引き続きやることにしました。最近は、いろんな形で皆さんと直接音楽の話ができる機会が増えましたが、それでも、こうやって、皆さんがどんな音楽をこの1年楽しみながら過ごしたのか、肌で感じられる機会は大切にしたい。毎年、同じことを言ってるようですが、皆さんのリストを眺めていると、まだまだ辞められないなと、改めて思ってしまいます。そういう訳で、1年後に、またお会いしましょう!!

2018年 1月 天辰保文